みっち の おもひで

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観劇・映画・小説などなど。折りに触れて思い出せるように…

音楽座ミュージカル「7dolls」配信中(1/29土~2/5土)!!

音楽座ミュージカル『7dolls』が配信中です!!(嬉しい♡とっても嬉しいヽ(・∀・)ノ)

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ポール・ギャリコ著「七つの人形の恋物語」を原作に、音楽座さんがミュージカル化した作品になります。ポール・ギャリコというと、昨年「ほんものの魔法使」を宝塚で上演したのが記憶に新しいかと思います。(観たかった。チケットなかった。あーさ主演気になるぅぅ)
七つ人形の恋物語は心理学の要素で取り扱われることが多いようです。私も原作を読みましたが、ファンタジックな物語の中に「私とは」「他者の関わり」といったテーマがあるように感じます。本作は原作にあるテーマを引き継ぎつつ、ミュージカルとしてエンタメとして、華やかなナンバーも入れつつ楽しませてくれるものになっています。

初演は2008年「七つの人形の恋物語」、そこから再演を重ねる度に作品のタイトルも変えながら、形を変えていっている作品になります。前回の2019年公演「7dolls」からも大幅に変更されていて、3つに1つは新曲なんじゃないかと思うほどでした(もはや新作…)。これまでの公演を観られている方も、音楽座ミュージカルは初めての方も、東宝さんでの公演で興味を持った方も、この機会に音楽座ミュージカルの公演に触れてみてはいかがでしょうか。
↓↓配信チケット↓↓
Ongakuza Musical「7dolls」のチケット情報(2022/1/29(土)~2022/2/5(土)) - イープラス

あらすじ

ムーシュという少女が川へ身投げしようとしたところに、人形のにんじんに呼び止められるところから始まります。七つの人形たちと共にキャプテン・コック人形一座として旅興行を行いながら、その人形使いであるキャプテン・コックとムーシュとの関係を描いた作品となっています、、、などと言ってもわからないこと多いでしょうし…作品冒頭にんじんさんが物語の説明をしている様子が初日ダイジェストにありますので、まずはこちらをご覧ください(他力本願(´^ω^`))

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見どころとか

ダイジェストを見るとわかりますが、7つの人形は本当の人形としても出てきますし、それぞれの俳優さんがその人形役を演じながら進んで行きます。この人形たちは存在と呼ばれる俳優さんによって動かされています。片手で人形の両腕を動かしていたり(できる気がしない…( °◊° ))、会話に応じた表情を見せてくれるのも魅力の一つになっています。これ、前回の公演ではここまで人形さんの場面多くなかったのですが、びっくりするくらいにお人形さんバージョンアップしております。音楽座あるあるですが、いわゆるメインキャストではないところで「存在」という役が大きな役割をになっています。この「存在」が7dollsの世界を創り、本作では人形も操っているのです(裏側どうなってるか気になる( ´艸`))。カーテンコールで誰が動かしていたのかも確認してみるのも面白いかと。すっっっごい練習したんだろうなーってただただ私は感動でした。

観たあとには観ていなかったときには戻れない。もどかしく苦しく、もがいてもがいて、その時代を生きた先にある今をどうするのか。その感情の言葉にならなさを一緒に体験してもらいたい。分かりやすい単純明快でハッピーなミュージカルとは言えないですが、音楽座ミュージカルならでは、自分を見つめ直すきっかけになる作品だと思います。

人形の扱いの素晴らしさと、JUST CLIMAXの宣伝と、"カオス(笑)"と評判の動画はこちら

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次回公演は…

そして、音楽座ミュージカルの次回作は2/13,2/14に上演される「JUST CLIMAX」です。
これまで音楽座ミュージカルはオリジナルのミュージカルを14作品手がけてきており、先程の2022年の年賀動画でもあった通り、今年35周年を迎えます。「JUST CLIMAX」では、これまで上演されてきた作品の楽曲を通して、いままでの奇蹟に触れていく作品になっています。
35年という歳月の中で音楽座ミュージカルが創ってきた音楽座らしさを直に感じられる、ライブやコンサートとも異なる「JUST CLIMAX」。是非足を運んでもらえると嬉しいです。※ご時世上チケット売り止めもあるかと思いますのでお早目に

www.confetti-web.com

「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」のあの曲や、「マドモアゼル・モーツァルト」のあの曲、現在上演中の「リトルプリンス」の曲も、音楽座ミュージカルの演出で1度に観ることができる貴重な機会になっていると思います。

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magazine.confetti-web.com

spice.eplus.jp

その後も2022年は 6月~浅田次郎著「鉄道員」所収の「ラブ・レター」を原作としたミュージカル「ラブ・レター」で地方もまわり、11月には新作「KARELU(カレル)」も予定しています。

「ラブ・レター」一般公演日程について|音楽座ミュージカル
【神戸】6月22日(水) 18:30~ 神戸文化ホール 中ホール
【東京】7月1日~7月3日 草月ホール
【名古屋】8月24日(水) 18:30~ 名古屋市公会堂 大ホール
【広島】9月3日(土) 時刻未定 JMSアステールプラザ 大ホール

今後も音楽座ミュージカルがどんな作品を上演していくのか、とっっっても楽しみです。まずは、今配信中の「7dolls」を楽しみつくそうと思います。是非見てください。ほんとに。2/5(土)まで見られるから。ほんとに(・∀・)

↓↓「7dolls」配信チケット↓↓
Ongakuza Musical「7dolls」のチケット情報(2022/1/29(土)~2022/2/5(土)) - イープラス

2021年本屋大賞ノミネート10作品読んでみた

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毎年恒例の本屋大賞ですが、最近はノミネート作品が発表されてから大賞発表までに10作品読み切って、順位予想なんかやってみたりして楽しんでます。今年は割と読む時間も取れたので、2次投票締め切り前に読み終えることができましたよ(´▽`)
わたしは本屋さんじゃないのでね、投票するわけじゃないですけどね、まぁいいじゃないですか。投票する書店員さんだと、普段から読んでいてノミネートの中でも既読がある場合があったとしても、1次投票結果の発表(ノミネート10作の発表)から1カ月で2次投票ですからね、なかなか全部読もうとすると大変です。投票結果は4月に発表されますが、ノミネート以外でも投票された作品は本の雑誌で公表されています。
昨年のはコチラ
www.webdoku.jp

本屋大賞って??な方はこちら⇒本屋大賞とは | 本屋大賞

では、1冊ずつ見てみますか。

 ノミネート10冊

『犬がいた季節』伊吹有喜(著)双葉社

高校に迷い込んだ子犬が、そのまま飼われ、その高校の3年生18歳の高校生が犬と一緒に暮らした時代を昭和から令和までを描いた作品。
高校3年という、大事な選択をするというタイミング。進学・就職やその時代にあったことに触れながら、精一杯を生きて進んでいったみんなをコーシローと名づけられた犬の目線を入れながら物語は6つの時代を切り取ります。昭和63年度・平成3年度・平成6年度・平成9年度・平成11年度・令和元年、犬の成長や老化や寿命も意識しながら、そのときそのときの高校生は甘く切なく高校生活を送っていて、旅立っていった卒業生もそのときをしっかり生きている。時間が経ったらあまり思い出さなくなることも、ふと再会するだけで思い出し、その瞬間には高校生に戻れるというのが、昭和~令和までのひとつの高校を舞台にすることで見えてきます。自分だったら、、、そんなに簡単には同じように振る舞えないかなとは思うものの、そんな明るい世界があっていいじゃない?って疑似体験させてもらえたかのようです。そして、とにかく犬のコーシローの言葉遣いが暖かくて愛おしくて。時代ごとに世話をする高校生にはコーシローの気持ちや言葉は伝わっていなくても、そこに居るってことが、きっと繋いでくれたものがある気がします。
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『お探し物は図書室まで』青山美智子(著)ポプラ社

小学校に隣接されたコミュニティハウスにある図書室。そこにいる司書さんが、とっても個性的。本を借りていく登場人物が色んなものに例えるのですが、それが面白くて。いったいどんな人よ?って。「穴で冬ごもりしている白熊」「ゴーストバスターズに出てくるマシュマロン」「ベイマックス」「らんま1/2のパンダ」「正月で神社に飾られる巨大な鏡餅」...ずいぶんな言いようである。。。そんな司書さんが常に羊毛フェルトで何か作っている = 針でぶすぶすフェルトを刺しているwww のだからなかなかに恐怖(笑)。しかも突然「何をお探し?」無愛想にと問うてくるのだから、その場にいたら((( ゚Д゚)ってなりそう。登場人物はこの司書さんに本を探していると相談し、いくつか本を見繕ってもらいますが、その中にいつも直接関係ない本が入っています。エクセルの勉強するのに『ぐり と ぐら』すすめられたり。そして付録として羊毛フェルトの何かをプレゼントしてくれる。
その大きくて白い司書さん?がレファレンスでオススメしてくれた一見関係のない本が、日常に悩んだ登場人物たちにとって大きな意味を持ってくるのですが、それは司書さん曰く「あなたが自分で必要なものを受け取っただけ」。羊毛フェルトの付録の選び方も「てきとう」かっこいい言い方にすると「インスピレーション」。わかるような、わからないような(笑)1冊の本がきっかけになってくれたらって思って真剣に選んでいるんだろうなと思います。それを長いこと続けているとベイマックスみたいになれるのかな( ̄ー ̄) この本はやさしいのと同時に厳しい話だとも思う。結局は自分で見つけていかないといけないって、、でも助けやきっかけは近くにあるってことかな。

ちなみに、、、図書館ではレファレンスというサービスがあるということは知っているでしょうか。有名なのかな?正直わたしは、図書館で本を借りるときに使ったことないし、存在を知ったのも図書館戦争読んでからなんですが。もし、知らなければ一度調べてみると面白いかもしれません。事例集とかでは、なかなかに突飛なレファレンスが見つかったりします。本屋さんでも質問に答えてくれるとは思いますが、図書館のは正式なサービスとしてありますので是非。ただ、あんまり変な内容だと司書さんを困らせちゃうので気を付けて。
www.webasta.jp

 『推し、燃ゆ』宇佐見りん(著)河出書房新社

芥川賞も受賞した本作。「推しが燃えた、ファンを殴ったらしい」から始まるのが衝撃的。現役大学生が書いているのもあるかもしれないけれど、推しを推すということについて、"今"をありありと切り取っているように感じました。今の時代への解像度が非常に高い。ただ好きという言葉では表しきれないほど大切なものに対して、そこへの距離感・関わり方について悩むことって結構あると思うんですよね。みんなないのかな?わたしはある。というかあるからこの本がこんなに話題になっているんだと思う。この中での「推す」ということを説明するバランス感覚もよいなと思っていて、その形は様々で「恋愛的に好きで作品には興味がない人」「リプライを送るなど積極的に触れ合う人」「作品だけが好きでスキャンダルなどに一切興味を示さない人」などなど。主人公あかりのスタンスは「作品も人もまるごと解釈し続けること」。実際に色んな人に触れるとわかる、本当に推し方って様々で、けっこう理解できないものまでほんとに多様なんだなって実感もある。そんな"今"が克明に刻まれている作品だなって思います。芥川賞関係の本って読むと毎回そうなのだけど(そんなに読んでないけども)なかなか読み終わった後の拠り所のない感じが気持ち悪かったりして。いや、どちらかというとこの本は前向きさがあるなと思うけど、う~んなんとも。。。(ちなみにどうでもいいけど、あんまり「推す」って言葉は使いたくない派です(・∀・))
推しを推すってことにばかり注目してしまいがちだけど、あかりのことについては繊細に見てみる必要はあるなと思っています。「保健室で病院の受信を勧められ、ふたつほど診断名がついた」。ここの部分って全体を通しても大事だなと思う。明確な診断名は明かしていないけど、そこは想像して補わなくてはいけなくて、でも何かコレと決めつけることも違うような気もして。たぶんそんな余白も含めてあかりという存在の生き方を見つめてみるとよいのかなと思います。
受賞会見も是非。この診断の話もあります(22:20~くらい)。

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『オルタネート』加藤シゲアキ(著)新潮社

こちらは直木賞候補になった作品。著者はまぁ有名どころですね。アイドルと小説家の2足の草鞋って単純にそれだけですごい。かなり前から小説書かれていることは知っていたし、本作も本屋で平積みされていたので存在はしってました。本屋大賞ノミネートされたということで初めて触れた感じです。
内容としては高校が舞台になっていて、その高校に通う生徒を中心に3つのパートが交差しながら進んでいきます。特徴はやはり「オルタネート」という高校生限定のマッチングアプリSNS。実名で登録しなければならず、中退だとしても高校生でなくなれば使えなくなるアプリ。どうしても「オルタネート」を使う気にならない新見容。「オルタネート」を信奉し積極的に利用する伴凪津。高校を中退してしまったため弟の「オルタネート」で旧友に会うため上京する楤丘尚志。実際にあってもおかしくないアプリが存在している世界の中で、使っていることが当たり前の高校生活で、それぞれの生活がリアルでスピード感もある作品です。題名にもなっている「オルタネート」は現実にはないけれど、読み終えた感想としては、SFでは決してなく、たまたまそこにあったSNSが「オルタネート」だっただけだなと、高校生が高校生としてその時必死に生きている空気が伝わる青春小説だなと思います。自分だったらオルタネート使ってるかな?たぶんアカウントだけ作って何もしないパターンな気がする・・・
加藤シゲアキ『オルタネート』新潮社公式サイト

『逆ソクラテス伊坂幸太郎(著)集英社

ノミネートは普段からよくされているし、有名すぎるくらい有名だし、なんだけど結局あまり触れてこなかったんですよねぇ。で、読んでみて意外と印象が一番薄いかも?面白いですけどね、インパクトはそこまでかな。
表題作と他4作の短編になっています。どれも弱い立場から敵?に対してちょっと斜め上から攻めてみようって感じ。どうしたって感じてしまう他人との差を、どうしたら今より少し生きやすくなるかって。そのためには少し嘘ついたり、本当のことは伏せていたり。別にそれって悪いことじゃないよね。いつもぱっとしないと思っている人でも、きっとそればかりじゃなくて、見えてない面はあるよね。いずれも小学生が主人公になっています。子どもの頃は、なんだか変な正義感があってみたり、でも実際はそんなに悪いことって多くなかったり。大きな事件があるわけじゃないけど、そこに居る人たちからしたら大きな事件で、真剣に、そしてちょっと姑息になったりしながら逆転しようと頑張る。真正面じゃないかもしれないけど、生きにくいときに応援してくれるような物語かなと思います。
www.shueisha.co.jp

『この本を盗む者は』深緑野分(著)KADOKAWA

今年のラインナップではわかりやすくファンタジーなのがこの作品。
母親に読み聞かせしてもらっていたナルニア国物語が面白過ぎて、読み聞かせの時間を待てずに自分から読み始めたのが私の読書習慣の始まりなもので、このタイプのファンタジーは大好物です!ナルニアとか、はてしない物語とかもそうですが、「行きて帰りし物語」が好きで、帰ってきたときには特殊な状態はなくなっているけれど、その世界を体験した後では少し前とは変わっているというのがね、夢があるじゃないかと。そんな気持ちを思い出させてくれました。
あらすじが↓です。

書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。
“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”
本の呪いブックカースが発動し、読長町は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り、世界が元に戻らないと知った深冬は、私立探偵が拳銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨大な獣を巡る話など、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れて――。

深緑野分『この本を盗む者は』特設サイト | カドブンより

はい。もうね、このあらすじからね、ワクワクしますね。本盗んだらブックカースにかかるってもう(*ノωノ)。ブックカースが発動する度に現れる少女がいたり、じゃあその少女は誰なのかとか。この作品の珍しいところは、異世界を旅するってことだけではなく、深冬の住む読長町自体がブックカースによって本の世界に変わっていくってこと。近所の学校の先生が探偵になったりとか、一度は夢見ますよね!っね!(`・ω・´)その設定たまらん。あとはどれだけ、その不思議な世界に浸かれるかですね。子どもに戻った気持ちで読みましょう。
(突然語彙力なくしてる感満載になってきた・・・) 
kadobun.jp https://photos.google.com/photo/AF1QipM1AhwNE6cvbntMLFRQdQmpUltXg2cbO1w-UNXLちなみに、まるで御倉館にいるような体験ができるのが角川武蔵野ミュージアムの本棚劇場。紅白でYOASOBIが歌った場所なので話題にもなりましたね。

 中はまだ入ったことないのですが、外観と特集をどうぞ。
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kadobun.jp

『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ(著)中央公論新社

2020年で一番話題になってたんじゃないかな?ってくらいの本作
読書メーター OF THE YEAR 2020 1位
・王様のブランチ BOOK大賞2020
すごい。。。
その前の年の本屋大賞が『流浪の月』で、このときは社会の空気とかも含めて、自分たちは幸せで直接他人に迷惑かけていないのに、なんでそんなに攻撃してくるの?放っておいてよ!って感じがあったような気がしていて、その形が『流浪の月』には表現されているなと感じていました。じゃあ今回は?ってなったときに、『52ヘルツのクジラたち』がアンサーになっているような感覚を持っています。
人と関わるなら傷つけることも傷つけられることもある、それでも出会って、良いことも悪いことも抱えて生きていくんだってことが物語で見せつけられた作品です。正直前半読んでいるときはかなりきつい。小さい田舎の空気、家族からの虐待、母親には「ムシ」と呼ばれる子ども。本当に読んでいくのが苦しかった。でも、大なり小なり現実にはあって、ニュースなどでは見かける話で。じゃあそこを少しでも良い方向にするためにはどうしたらよいかって考えると難しくて。この物語で教えてもらったのは、ただ近くにいて、その人なりの52ヘルツを聞くこと。それが始まりなんだってこと。きっとその52ヘルツは簡単に聞こえるほど大きな音ではなくて、すぐに受け取れたり変わったりできるものでもないのだと思います。物語の最後には救いがあります。でもその救いは、主人公たちがものすごい考えて苦悩して、やっとたどり着いた答えです。それだけ時間をかけることも労力もなかなかできることではないけれど、きっと52ヘルツを聞こうとしない人生よりずっといい。

おかあさんが、大好きだった。

人生を家族に搾取されてきた女性と、
母親に「ムシ」と呼ばれている少年。
愛を欲し、裏切られてきた孤独な魂が出会い、
新たな物語が生まれる。

「52ヘルツのクジラ」:他のクジラの鳴き声とは遥かに高い周波数で鳴く「世界でもっとも孤独な鯨」とされる個体

52ヘルツのクジラたち|特設ページ|中央公論新社より

www.chuko.co.jp

『自転しながら公転する』山本文緒(著)新潮社

たぶん今回のノミネート作で一番長い。でも読んでみたら納得する。こんなに丁寧にひとりの女性について書いていたら、文量なんていくらでもいくよなって。そのまんま自分に当てはまるとかってことは、そんなに多くないかもしれないけれど、次第に都という女性が身近な人に感じられるようになります。読んでいてもあんまり小説読んでる感覚じゃなかったですね。もはやドキュメンタリー。都が経験することは、きっと誰かが経験してきたことで、ほんの少しフィクションが入っている感じ。職場の人間関係、パワハラ・セクハラ、家族の体調不良、親の買ったマンション、恋愛・結婚、30代に起きそうなことはいっぱい詰まっていて、でも実際全部起きていたら大変ですね。。。そこをじっくり丁寧に書かれているから、読んでいて自分事にできるし、ちょっと他人の人生覗いている感覚になります。
プロローグとエピローグは単行本化にあたっての書下ろし。ここがいいスパイスになっているなと思います。ちょっとだけ叙述トリックになっていて、本編読んでても少し気にかけながら進めていって、最後にはなるほどねって。ちょっと長い小説でもこういう工夫があると先が気になるので、どんどん読めちゃいます。
www.shinchosha.co.jp

『八月の銀の雪』伊与原新(著)新潮社

 研究者っていいなって思うんです。人と話すのが苦手で、人と会うのは好きだけど後でめっっちゃ疲れる。周りに影響されずにずっと何かに没頭していることで仕事になったらいいななんて思っていたころもありました。結局、就職活動してサラリーマンになっちゃいましたが。。。こちら表題作「八月の銀の雪」を含む5作品の短編集です。地球の地殻を研究している学生、博物館でクジラの絵を描く事務員、迷子になった伝書バト、珪藻のアート作家、気象を凧を揚げで研究する人。一見難しそうにも思えていたことも、あくまで自分たちの住む世界の一部であって、ひとつのことを突き詰めている人たちが何故その1点に魅力を感じているのかを知ることで、とても身近な話として受け取ることができるようなお話です。ほとんどの作品が研究ということとは無関係な人たちの目線で書かれています。触れてこなかった人が科学の世界を垣間見たときに何を感じるのか、そんな話が5つ詰まっています。研究っていいなぁ。
shosetsu-maru.com表題作は公開されていますので是非。
www.shinchosha.co.jp

『滅びの前のシャングリラ』凪良ゆう(著)中央公論新社

昨年本屋大賞を受賞された凪良ゆうさんの作品。ただ作風は昨年の「流浪の月」からは異なっていて、今作は終末もの。1カ月後に隕石が地球にぶつかって人類が滅ぶというリアル『ノストラダムスの大予言』です。もし世界が滅ぶことが確定したら?その1カ月はどんなことが起きるだろうって想像が捗ります(笑)。刻一刻と滅びに近づいていく日常がリアルに描かれているので、キレイな話ばかりではなく残酷な出来事も起こります。主な登場人物4人については滅ぶ前から人生に悲観的なのが面白い。

「一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する」

突然宣言された「人類滅亡」。
学校でいじめを受ける友樹(ゆうき)、人を殺したヤクザの信士(しんじ)、
恋人から逃げ出した静香(しずか)、そして――
荒廃していく世界の中で、「人生をうまく生きられなかった」四人は、最期の時までをどう過ごすのか。

滅びの前のシャングリラ|特設ページ|中央公論新社より

この4人が絡み合って最後、滅亡のときに何を思うのか。極限の世界の中で何を大事にして、誰と一緒にいることを選択するのか。宣告された限られた時間をどう過ごすのか。エンタメ色もある読みやすい物語から、じゃあ自分だったらを考えさせてもらえる作品でした。ラストの爽快感もあって、さすがのキノベス1位です。もし、今年も大賞になったら、2年連続!これまでノミネートが複数年続くことはあっても、大賞の連覇はなかったので、それはそれでテンション上がりますね。

大賞予想

いろんな人がしてるみたいに1位から10位まで予想してみようかなとも思ったんですが、それは心の中でやっておきます(・∀・)

ただ、大賞くらいは予想しておきましょう。

 

ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル

 

 

 

ババン!

 

 

 

52ヘルツのクジラたち

 

 

 

じゃないかな~なんて。 
この作品を大賞予想している方多いのであまり新しさはなくなっていますが。。。

本屋大賞に選ばれるというのは、いま書店員さんたちが一番売りたい本ということになります。大賞やノミネート作品以外にもたくさんの作品があって、書店員さんたちが1作品1作品に思いを込めて投票した結果が集まって大賞になります。自分が好きな本はどうだったかなと思ってみたり、普段だったら手に取らないような本にも興味を持ってみたり。多くの物語に触れることができるこの賞が好きなので、来年も一緒に楽しめたらなと思います。10冊読むのけっこう大変だったりもしますけどね( ;∀;)
辻村先生が「かがみの孤城」で大賞を受賞したときの会見での言葉が大好き。

本屋大賞はバトンだと思う。」

youtu.be

では、4/14の発表を待ちます_(:3 」∠)_ 

https://www.hontai.or.jp/

音楽座ミュージカル「SUNDAY」のVR配信を見る!ための準備

音楽座さん、VR配信始めるってよ

 簡単に言うと、音楽座ミュージカル『SUNDAY』をVRで配信しまっせという祭。めっちゃ高級なハイテクカメラで3方向から撮ったから全部楽しみましょうってことです。
これを最大限に楽しむのはどうしたらいいのか?、VRってなんなん?みたいなことを整理してみようと思います。

音楽座のSUNDAYってどんなやつ?ってなる方は以前に配信してくれたときに紹介記事書いてみたのでそちらをどうぞ。 ※当時のものなので、配信リンクなどは切れています

micchi-blog.hatenablog.com

SUNDAYが配信で見ることができるのはこれが最後っぽい?ので、後悔ないように、チェックしておきましょーーー!

「SUNDAY(サンデイ)」舞台映像
  VR"8K(最大)"オンデマンド配信

配信を購入するのはこちら↓↓から

blinky.jp

Blinkyで配信されますが、購入していればブラウザでも見ることができます。いろいろ準備しなくてもスマホでもPCからでもOK。ドラッグしながら見たい場所を見ることができます。

申し込みに困ったときはこちら↓↓。ゆかりさんすごい!パチパチ

前夜祭 3月27日(土)19:00~

お祭りですからね、前夜祭も盛り上がりましょう。配信ですが、アーカイブなし、ここだけのお話が聞けるかもしれません。
 ①特別座談会
 ②"超おさらい"歴史で学ぶ「SUNDAY(サンデイ)」
 ③コメントしながら一緒に「SUNDAY(サンデイ)」 

「SUNDAY」VRオンデマンド配信
  3月28日(日)0:00 ~ 4月4日(日)23:59

配信内容は「SUNDAY」を上手・中央・下手でタイタンちゃん*1(※以降タイタンちゃんで通します) で撮影したものを作品まるっと期間中(3/27~4/4)何度でも見られるというもの。さらに石川P様とレスリー役の森さんのコメンタリー版もあるんですって( *´艸`)。太っ腹。

配信されるもののダイジェスト版で上手と下手視点の動画がありますので試しにどうぞ。
画質は4Kです。Oculus Questを準備しない場合はこの画質でみることになりますので、今回の配信の参考になるかと思います。
 上手タイタンちゃん:
【VR right】「SUNDAY」Digest
 下手タイタンちゃん:
【VR left】「SUNDAY」Digest

音楽座さんはかなり早くからVRに取り組まれています。ちょっと振り返ってみると2017年からでしたね。ずっとアルファコードさんと一緒にやってきています。ここの経験が他の舞台にも活かされているんだろうなと。舞台好きとしては『Defiled-ディファイルド-』とかは記憶に新しいでしょうか。STAGE GATEさんの作品のVR配信をやっていた会社さんです。VRをどう演劇と融合させるのかは、まだまだ可能性がいっぱいあると思います。これからも挑戦続けて欲しい!

 ◆2017年2月:リトルプリンスVR
  リトルプリンスVR|音楽座ミュージカル
 ◆2017年6月:VRラジオ配信「ショーマチ」がスタート
  ショーマチ #1「VRライブ中継」 - YouTube
 ◆2018年8月:リトルプリンスアルファ
  LITTLE PRINCE ALPHA|音楽座ミュージカル
 ◆2019年11月:タイタンちゃん ショーマチで始動
  ショーマチ#58「ROAD(ロフト)TO フェス」 - YouTube
 ◆2020年9月:「SUNDAY(サンデイ)」シネVR特別版収録
  LITTLE PRINCE ALPHA|音楽座ミュージカル

 

予行演習@ショーマチ 

VRって初めて(;・∀・) とか Blinky初めて(;・∀・)とかの方のために3月25日に予行演習ができる配信があります。しかも、なんと無料で!ショーマチといいましてですね。緊急事態宣言が解除されればVR生配信をしてくれます。もしかしたらVRではない配信になるかもしれませんが、Blinkyを試すにはもってこいです※YouTubeでもVRでみることができます。
ショーマチは音楽座ミュージカルに所属されている益山武明さんと安中淳也さんがMCをしております。安中さんや妖精さんは「SANDAY(サンデイ)」にも出演されているので、ここで見ておくと先取り感あっていいです。ただ一つ言っておかないといけないのは、ショーマチは音楽座の治外法権です、悪しからず(小声)
Blinkyでチャンネル登録した上で、最新情報はこちらのアカウントをチェックしておきましょう。音楽座公式とはチャンネルが異なりますのでご注意ください。

twitter.com

ショーマチの予習したい方はこれまで2度開催されてきたショーマチフェスをBlinkyで購入してみるのもアリです。

share.blinky.jp

share.blinky.jp
そのままダミンシティも入っちゃえばいいと思う。

VR配信の楽しみ方

配信購入先での説明でもわかる方もいらっしゃるかもしれませんが、VRとは?8Kってどう見えるん?みたいな話を。

VRって?

VRとかARとか、ひいてはMRとかXRとか、、、いろんな"何とかR"があってよくわからんという気持ち、ええわかります。現実に見えている世界をテクノロジーによって新たな世界として知覚できるようにするという感じ。

  • AR(Augmented Reality):拡張現実
    レンズ・カメラを通した先はそこにある現実の風景があって、そこに家具を見せたり、ポケモンを見せたりすることで、現実を拡張しているわけです。
  • VRVirtual Reality):仮想現実
    レンズ・カメラを通した先に現実とは異なる世界が広がっていて、あたかもそれが現実かのように体験・没入できる状態になるやつです。

スマホの2次元ディスプレイの中で見る360°のYouTubeは、そのままでは仮想化された世界を見ているわけではなく、端末を動かしたり画面をドラッグすることであくまで2次元のディスプレイ上を通常の正面以外も見ることができるって状態です。左右に分割した画像を「左目で左の画像」「右目で右の画像」を見ることで立体的に見えるというものが応用されています。視力回復(ほんとうに回復するかは私は知りませんが・・・)でよくある動画・写真にあるものですね。

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がっつりVRを楽しむにはVRゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)が必要になります。正直スマホや平面のディスプレイで見るのとは雲泥の差です。もちろん客席がある舞台を定点から撮影しているので、動きのあるコンテンツほどの差はないかもしれませんが、劇場にいる感覚にかなり近いはずです。やってみないとVRゴーグルで見ることがどんだけすごいのかってのは理解できないと思います。やっている人の動画、例えばジェットコースター系の動画を見るとイメージできるかもしれないので貼っておく。ちょっとリアクション大きい人かつ後ろの人が意地悪してますが(笑)こんな感じ。わたしがやったたときも立っていられなくなる感じでした。甘く見ると本当に足元すくわれますww

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あと、混乱しやすいのが解像度の話。今回、8KとうたっているのはOculus Quest2でのみ対応とのこと。じゃあ他だとどのくらいの画質なん?って思いますが、おそらく4Kですかね?
ここでVRの場合の解像度のお話を。8Kというのは映っている全体で8Kになります。なので、おなじ解像度だったら基本的に平面のディスプレイの方が目が細かいってことになります。もちろん巨大なディスプレイだったら話は違いますが。。。VRは360°全体に映すことになるので、画面サイズが6倍くらいになったイメージでしょうかね。そのうち、自分が見たい方向に対して端末が映せる範囲で見ることができます。もちろん端末側の解像度も大事になります。なかなか単純比較はできないですが、テレビならFHD(2K)あれば十分って思っても、VRで2Kだとかなり物足りないことになります。

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VR(8K)の体験の仕方

今回の配信を見る方法の選択肢としては以下4つですかね。

  1. スマホやPCの2次元で見る:4K(たぶん)
  2. 簡易的なVRゴーグルで没入感を楽しむ:4K(たぶん)
  3. Blinky対応のHMDで見る:4K(たぶん)
    公式サイトの下の方に対応端末が記載あります。
    超体感XR配信プラットフォーム Blinky(ブリンキー)
  4. 本気を出す(Oculus Quest 2を買う):いろいろ設定して8K 

「2.簡易的なVRゴーグル」と「4.本気出したOculus Quest2」についての見方を整理していきます。他のHMD端末のことは知らないっす。だって持ってないもん。

2.簡易的なVRゴーグル

立体視は左右の目で見る画面が異なればよいので、スマホの画面を2分割すればよいわけです。例えば、YouTubeで下の仮面みたいなマーク(全画面表示の隣)を押すことで、対応している動画が左右に分割されます。


Blinkyは再生時に2DとVRどちらにするか選択ができるようになっています。

VR用の画面にしたスマホをゴーグルで覗けばOK。スマホを使ったタイプのVRゴーグルは3000円くらいのものが多いですので、試しに買ってみてやるかってくらいの気持ちで、体験してもらえると嬉しいな~なんて思います。視界のすべてがディスプレイになっている状態ってのがかなり大事です。これでも結構しっかりとVR体験できるので、わりとオススメだったりします。本気を出すには3万を超えるのでね。。。
AmazonでVRゴーグルで検索

4.本気を出す(Oculus Quest 2を買う)

さて。本気を出します。
…買いましたよ。えぇえぇ買いましたとも。生まれて初めてOculusを買いましたわ。Oculusって買うものなのね。

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きゃーーーーOculusチャン(/ω\)
ずっと欲しかったので買っちゃいました。この機会を逃してはならんのです。10年来の願いが叶うのですから。

はい、冗談はさておき。いや、あながち冗談でもなくてですね。

==ちょっと昔話=========

Oculus製品のことを知ったのは2013年頃でしょうか。当時クラウドファンディングしてたんですよ。Oculus Riftの初期です。今注目されているOculus Questはスタンドアロン型ですが、Oculus RiftはPCがないとVRを見ることができません。この仕様は今も同じですが、PCなど不要でヘッドマウントディスプレイ単体でOKになったのは結構後になってからです。Oculus Goが先駆けでしょうか。わざわざPCを用意する必要なしでかつ手が届く価格帯ってなって一気に注目されたような気がします。そんな感じですので、なかなか2013年とか学生時分でお金出して初期開発ロットを手に入れるのはハードルが高く諦めていた時代があります。Facebookに買収されたのとかもテンション上がりましたね。初めてVRゴーグルを使用して動画鑑賞したのは2016年の神戸ITフェスティバルに行ったときだと思います。展示の中にGoogle Glassとかもあって体験してきたのでした。Oculus Rift めちゃくちゃ感動しましたよ。

====================

話を戻しまして、Oculus Quest2でどうやって見るのかですね。
基本的には公式さんが出してくれている通りに進めばよいと思います。

blinky.jp

私がやった設定のことも覚書として残しておきます。

    1. 開封(テンション上がるわ)もろもろの初期設定は飛ばします。大事なのは2つですかね。
      Facebookのアカウントを持っていること
      スマホにOculusのアプリをインストールすること
    2. Oculus Quest2 にBlinkyアプリをインストールする
      これが簡単にできればよいのですが、

      Oculus Quest用のアプリを公開いたしました。
      Oculus Quest2では8K解像度の映像がご覧いただけます。

      2021年3月17日現在、現在AppLabに審査出願中です。
      審査通過までの間、SideQuestからインストールしていただけますようお願いいたします。

      音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」VR Blinkyより 

      とのことですので、ここの手順はOculus Questを開発者モードにするになります。
      ①設定から接続したOculusを選択して、その他の設定へ

      f:id:micchi-blog:20210321191403p:plain
      ②開発者モードへ

      f:id:micchi-blog:20210321191520p:plain
      ③開発者モードをON
      ※初回ここではONにはなりません

      f:id:micchi-blog:20210321191615p:plain
      ④作成開始

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      ⑤対象デバイスをOculus Quest選択

      f:id:micchi-blog:20210321191732p:plain
      選択された状態になります。

      ⑤下の方にあるリンクへ

      ⑥ログイン(facebookと同じはず)

      ⑦団体名(何でもOK)確認事項を読んで、送信

      ⑧アプリに戻ると開発者モードをONにできる

    3. PCにADBドライバーのインストール
      こちらはWindows PCの方のみです。

      Oculus ADB Drivers | 開発者センター | Oculus

      リンク先からダウンロードしたZIPファイルを解凍し、「android_winusb.inf」を右クリックからインストールします。

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    4. SideQuestアプリをPCにインストール
      SideQuestとは?というのは非公式アプリをインストールするためのアプリケーションだと思ってもらえばよいです。Blinkyは公式に申請中のためこちらからインストールすることになります。
      SideQuest: Early Access Virtual Realityにアクセスすると、OSごとのダウンロードファイルがあるので、選んでダウンロードしましょう。f:id:micchi-blog:20210321165547p:plainexeファイルを実行して画面に沿っていけばインストールされます。
      次へ > インストール > 完了 ってくらいで終わり。
    5. SideQuestを起動し、PCとOculusQuestをUSB-Cで接続しましょう
      接続できていないとSideQuestの左上が赤マークになります。

      f:id:micchi-blog:20210321170301p:plain
      Oculus Quest2の付属品にtypeCのUSBがあるので、PCとOculusをつなげましょう。緑色になったらOKです。

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      ※実はここでめっちゃ躓きました。私のパソコンがどうやら相性悪いらしくて。繋がった瞬間に途切れるのを繰り返してました。繋がるのが一瞬すぎて、繋がってもアプリをインストールなんてできる時間じゃなかったので、ガチで困ったの雨の中散歩しました(笑)どうしたかって言うと無線経由で繋げました。無線で繋げるのもいったんはUSBで繋がっている必要があるので、繋がってる一瞬を狙ってCONNECTぉぉお( ゚Д゚)って押しました。もはや勢いです(笑)たぶん今度繋げるときも勢いでCONNECTしないといけません_(:3 」∠)_

      f:id:micchi-blog:20210321204516p:plain

    6. Blinkyをインストール
      SideQuestの検索から行きました。

      f:id:micchi-blog:20210321185436p:plain出てきたらINSTALL TO HEADSETのボタンでインストール

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      そのうちインストール完了します。

    7. OculusでBlinky起動
      アプリ→右上の対象確認を「すべて」からリストの最後「提供元不明」を選択するとBlinkyがありますので、起動。
      起動したらSTART。で、ここでもちょっと躓きました。どこでログインするんや?ってなりまして。。。下をのぞき込むとコンテンツ・チャンネル・ログインってのが並んでましたわ。

 以上、これで私もきっと8Kで「SUNDAY(サンデイ)」が見られるはず。いや、ほんと楽しみです。念願叶うとはこのこと。心配ごとは我が家のWiFiのスピードだけ(笑)3月28日 ~ 4月4日までの期間限定になります。劇場で見た方も、年末年始で配信見た方も、いろんな視点で見ることができますので興味ありましたら是非。

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*1:タイタンちゃん:Insta TITAN360という360°撮影ができる超高性能カメラ

3.11を振り返る②その後の3年間と今

さて、前回の記事ではやっとこさ実家まで帰ることができたよって話まで書きました。ここではその後どうだったのか。いま、何を感じているのかなんてことを書いてみようかと。これまた当時の話はだいぶ前のことになるので、記憶は大変に怪しいので悪しからず。また、本記事は私が撮った震災関連の写真を主に載せています。あくまで当時のものです2013年~2014年のものがほとんどです。「今」ではありません。

前の①はコチラ↓↓ 

micchi-blog.hatenablog.com

  

福島での生活

2011年3月は先輩の卒業式がなくなり、4月の授業開始も通常よりも遅い開始となりました。ここまでちゃんと書いていなかったのですが、私は福島の大学に通っていました。大学院までで6年間。震災前の3年と震災後の3年を福島で過ごしたことになります。同じ学年の友人のほとんどは翌年に就職でした。ホテルに電話したら、住んでいるところを聞かれ咄嗟に地元を伝えた友人もいます。伝えたあとに福島じゃないのかと念を押しての確認があったそうです。東京では大きなデモをやっているというのも伝え聞いていました。どうやら福島でもやっていたらしいです。シュプレヒコールって言うんでしたっけ、あの声揃えるやつ。その程度です。東電だかから原発事故の賠償金だったでしょうか、いくらかもらったと思います。窓のあるところでは線量が高くなるからとペットボトルに水をためて置いておくと数値が下がるとか、まぁ数値についてはやめときます。

福島はフクシマになりました。駅前や公園、幼稚園などには線量計が設置され、

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天気予報の後には今日の放射線量が何シーベルトなのかを教えてくれる生活に

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だからといって何か具体的に生活スタイルが変わることはありません。それまで通りに大学に通い講義を受け、ときには友人と遊び、映画を見て、食べ物もそれまでと変わらず。ただ、心のどこかで他の地域の人たちよりも被曝しているのだというえもいわれぬ不安はなくなるわけではないし、だからといって急に線量が減ることもありません。どんなに調べて頭では大丈夫だと思っていても、疫学的観点で問題ないと証明されても、この気持ち悪さだけは完全になくなることはありませんでしたね。

仙台にも行きました:2014年4月

職場の研修では仙台に行きました。わたしとしてはこの間までふらっと来ていた場所への研修だったのであまり新鮮味はなかったですが笑。それでも研修最終日には閖上地区に行き、農家の方のおてつだいと、震災の爪痕を見ることができました。その一部を載せておきます。津波の被害があると土は塩を含み、以前の土地とは異なる状態になるため農業はかなり難しいとのことでした。それでもそこを離れない人もいるし、離れて別の場所で農家をやる人も、まったく異なる仕事を始める人もいます。

長針も短針も折れてなくなっているけれど、この時間帯に来たのかな。。。

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原発事故の被害に直接あった場所を見てみたい:2013年12月

卒業が近くなったときに、福島にいるから体験できることとして、そのときの原発周辺がどうなっているのかを見てこようと思いました。きっと就職したら足は遠のくだろうし、時間を作るのも大変になるなら、いま見てくることは意味があるかもしれないと感じました。それにあたり、大学からは線量計を借りて行きました。自分の住んでいるところの数値との違いを感じることができたので、とてもよかったと思います。その数値の違いは花粉のように体感できるものではないので、どれだけ違うのかを知るには線量計が必須でした。車で現地に入り、最初はJヴィレッジへ。Jヴィレッジは当時、原発事故対応拠点になっていたため、作業員の方ともすれ違いました。挨拶を交わしただけですが、どんな気持ちだったのだろうかと。施設内で簡単なごはんを食べられるようになっていましたので、昼食を取りました。次は、富岡町役場 連絡所へ。こちらでは使い捨ての防護装備一式を配布していました。私も受け取り、着た状態でそれ以降は移動しています。簡易の防護服・手袋・マスク・靴カバーがセットになっていました。私はあくまで経験としてここに立ち寄りました。防護装備が必要だと判断するほどの数値ではないと思っていましたので。そして、富岡駅へ。ここのあたりは特にきつい。駅であることはわかりますが、津波による被害の大きさを目の当たりにした感じでした。その後は特別目的地を定めることなく車を走らせました。富岡高校や観陽亭のまわりは行きましたね。その後は防護装備一式を返却するために、福島第二原子力発電所へ。防護装備は持ち帰ることはNGでした。第二原発では防護装備の処理や、車両のスクリーニング(風圧で表面の細かい付着物を除去)してもらうようになっていました。あまり帰りのことは覚えてないです。

Jヴィレッジ・富岡の写真

Jヴィレッジ。今は復旧され、ナショナルトレーニングセンターとして再開しています。

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富岡町役場 連絡所。簡易の防護装備をいただきました。

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富岡駅。現在は駅舎を少しずらして新しくなっています。

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動物たちにとって、この状況はどんなものなのだろう。

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富岡高校

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観陽亭。崖の上にある旅館f:id:micchi-blog:20210309220041j:plain

ちょうどこの旅館の記事がありました。
business.nikkei.com


放射線量について:2013年12月

当時まわった場所の線量も写真に残してはいますが、ここには載せないことにします。あまりにも時間が経ってしまったので、特別数字に意味はないと思うためです。ただ、そのとき住んでいた福島の家の中と外だけ載せておきます。その数字に対してどうとかはないです。ただ、事故後ここに3年は住んでいました。それだけです。
①家の中:0.17μSv/h ※窓際です

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①家の外:0.472μSv/h

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参考にしたもの

なお、この福島の道中こちらの本を参考にさせてもらいました。

ゲンロンショップ / 福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2

このような旅のことをダークツーリズムと呼びます。広島に行くとしたら平和記念資料館は誰でも候補に入れるのではないかと思いますが、そのように人類の悲しみの記憶に触れる旅をダークツーリズムと言います。まぁ名前はなんでもいいです。なにも勉強のためじゃなくていい、ただ興味本位でもいい、物見遊山でいい、きっかけはなんでもいいんです。ただ、そこに行く道中で少しずつ景色が変わることや、現地で思いがけず苦しい部分に出くわしてしまうこと、そんな時間を通して旅の前と後で何かが変わればそれで十分だと、わたしは思っています。

遠くに見える施設は福島第二原子力発電所。そこでスクリーニングを受けて帰宅しました。

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人が住んでいるところ、住むことはできないが工事のために一時的に出入りできるところ、入ることが許されていないところ。それをこの目で見てきたことは、かけがえのない時間だったのだと確信しています。

封鎖された道

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いま離れて感じていること。

現在は東京に住んでいます。それまでに関西に住んでいたこともありました。折に触れてこのときの話をするのですが、やはり場所によって受け取る方の空気というのか、当事者感というのは異なりました。東京であればそれなりの揺れ、高層ビルにいればかなり大きかったでしょうし、計画停電もありました。その意味で、自分たちはどうだったかということを思い出しながら聞いてくれる方も多いように感じます。関西では阪神淡路大震災の記憶の有無、もしくはその被害が大きかった地域の教育などと比較される方もいれば、ほとんど他人事のような方も。このあたりの温度感は経験だけじゃなくて、私との関係性も大きいかもしれませんね。近しい人の方が真剣になるとか。ほとんど揺れを感じていなければ、わたしもそこまで感心を持てる自信はありませんし、実際に海外の災害はよくわからない。大事なのはそれぞれ自分にあったバランスで向き合うことかなと思います。無理にこの時期だからって情報に触れなければいけないなんてことないし。ただ、そういうタイミングがあったら、あったらでいいので、そのときは向き合ってみてもらえたら…なんて。

わたしは、福島から出て行った人です。震災後3年を住んだとはいえ、3年で移った人なんだということ。それがずっと気がかりで、もやもやしているのはあります。だから、ときどき思い出すことや、遊びに行くこと、折に触れて東北の話(震災ってことではなく)をすること、いまがどうなのかを体験していない事実を忘れないこと。それくらいはしていきたいと思います。 そして、忘れてもいいってこと。

 

おわりに

最後にひとつ目にも書いていたことと同じものを。自戒を含め覚えておきたいことを。

どうしたって3.11については大なり小なり誰もが思うことがあるんじゃないかと思うんです。それは、直接的なものでなくても間接的にも、もしくはまったく無関係であることでさえも。だから、思い出すだけで疲れちゃうことだってあるだろうし、少し情報に触れるだけで苦しくなる人だっていると思う。「忘れない」「風化させない」って大上段に掲げたタイトルがこの時期は増えます。でも、別に全員がそうする必要はないし、いま元気でいることの方がよっぽど大事です。自分にとってよい塩梅で関わっていけるようにしていきましょう。真面目に向き合ってしまう人は不真面目になりましょう。そして、いまを生きましょう。

ひとつ、この時期に大事にしている言葉を。

「忘れろ、忘れろ、忘れろ。悲しみは片っ端から忘れていかないと人は生きちゃいけない。全部忘れれば希望が残る。」

音楽座ミュージカル「メトロに乗って」より

 

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3.11を振り返る①当日~実家へ帰るまで

10年が経って、ずいぶん遠い場所にきてしまったな、という感覚でいます。当時のこと、いま思うこと、記録しているわけではないですが記憶をもとに書いておこうと思います。

書いてはみるのですが、別に知っておかなければいけない話でもないし、何か価値のあることを述べるつもりもないのです。もしかしたら思い出したり、いろいろ想像して気分悪くする方もいるかもしれません(そんなに文章うまくないけども)。覚えておいてほしいなって思ったことは最後に置いておくので、そこだけでもどうぞ。ちなみに正直記憶が薄れていることも多いので、そこは悪しからず。

当日

大学3年の終わりでした。1,2年生が参加するテニスの大会があり、3年の私は後輩の応援のために泊まりがけで仙台にいました。前々日にも震度5弱を記録している地震が起きていることをニュースで見つつ、大会会場へ。いくつか試合を見つつ応援もしつつ、その日の半分くらいの時間が過ぎた14時46分。コートの脇を歩いているときでした。本震が起きました。経験のない揺れ、見えている世界が歪んで斜めになったかのように気持ちが悪かった。立っていることも難しいので、諦めて座り込む。近くの体育館の窓ガラスは割れ、まわりのアスファルトもひびが入り、騒然としました。即ネットワークは繋がらなくなり、親へ送ったメールも届いているのかわからないまま。いったん試合は中止、翌日また集まる話に(当然集まることなどできず、試合はなくなりました。)。しばらくワンセグなどを使いながら情報探していましたが、いつまでもそうしていても何も変わらないので、まずは駅へ向かうことに。太平洋側なこともあり仙台は雪も多くないのはずなのですが、3月なのに季節外れに雪がちらついたり、それだけでそのときの雰囲気が不自然で不気味な場所にいる感覚でした。当然電車は動かないし、当時泊まっていた宿まで移動することもできませんでした。どうすることもできず、近くの役所へ。最初は人も少なかったのですが、夜になると続々と増え続け、結果として避難所の形になりました。当然食料の蓄えを持ち歩いているはずもなく、ただそこに座っているしかできなかったのですが、部員が近くのドラッグストアでお菓子を買ってきてくれました。もちろん電気・ガス・水道は通ってない状態でしたので、お店の方もメモに書いての精算だったようです。ちょうどこの役所に着く前に、近くのお店では行列ができ、お客さんが店を開けろと詰めかけていたのを見かけました。そのときのそのお店は、「私も被災者なんだ!」と開けていませんでした。至極最もです。あんな状態なのに売り買いさせてもらえるというのは本当にありがたかったし、できなくて当たり前だと思います。お金はあとで集計して割り勘できるようにしてました。夜になるとさすがに3月の東北なので寒い。ヒーターを出してきてくれたので多少はマシでしたが、それでも寒い。椅子で寝ていたときに、後輩が毛布を借りてきてくれたのは嬉しかった。ある一角では非常用電源かなにかでテレビを付けていましたが、見る気になれず近づきませんでした。何故か夜のタイミングでdocomoだけネットが繋がる時間があったので、ケータイを借りてPCメールから状況を親に連絡しました。最初のメール含め届いていたようなのですが、こちらでは返信が受け取れていないので把握してもらえているか不明な状況は続いていました。

2日目~

明け方になって、自衛隊の方が来たらしく、わかめご飯の配給がありました。このあたりから本格的に避難所として機能し始めたような印象です。それまでは居場所がなくてただ人が集まってきた場所というような印象でした。この日、前日にドラッグストアで買い物ができたことから数人で近くのお店に行ってみるということに。行ってみるとコンビニの前にもけっこうな人が並んでいました。開けてもらえるかもわからない状態でしたが、それでも必要なものがある人が集まってきていました。しばらくすると、お店の方がいらして、開けてくれました。入り口でメモ帳を渡されて、買う商品は金額をメモしながら店内を周り、レジでは手で計算、購入にカードが使えるわけなく現金で。そうやって食料を集めていきましたね。ただ、このときはちゃんとメンバーに周知もせずに出歩いてしまったため、心配かけてしまいました。普段気にもしないことでも、いまが緊急事態であるということが痛烈に身にしみました。本当に申し訳なかった。避難所らしくなってきたこととしては、配給の時間が知らされるようになったり、そこに避難している人がどこの誰なのかを登録する用紙が配られたりしたことです。まだまだどれだけの時間をそこで過ごすかわからなかったので、自分も用紙を記載した覚えがあります。出るときにどうするかわからずそのまま放置してしまったのですが、あの後それをどうしたのかは不明のままです。確かもう1泊くらいはその役所で過ごしたんじゃないかと思います。いつ電気通るんだと怒鳴るおっちゃんが現れたり、手持ちの現金なくなってきたりもありましたが、最終的には中心部までのバスが通ったという情報が入ってそこから宿へ移動することができました。あとはタンクに残っていた水もすぐ少なくなり、トイレも水を流さないような張り紙がされたりと徐々に衛生面でも気になる点は出てきていましたので、よい選択だったのではないかと思います。役所にいれば配給があるので食料はなんとかなるという意見もありましたが、かなり疲弊してきていたのも事実でした。離れるときには、やけに統率とれてるなって思ってたと役所の方からも感心されたのが印象的でしたね。必死なだけでしたが、それまでの関係を部として築いていた人が近くにいるのは心強いものでした。

宿にて

バスで移動しているときも、いたるところで道路は歪み、景色も色を無くしてしまったかのようでした。市街地に着くと、電気が止まっているために食料が悪くなる前にと牛タンを配っていました。みな受け取っていたので私も受け取りましたが、しばらくはそれを食べる気持ちにはなりませんでした。宿に着くとインフラはその時点でガス以外は動いていました。通りを挟んだ向かいでは止まっているなど、かなりギリギリな形ではありましたが。また、たまたまプロパンガスの宿だったこともあり、お風呂に入ることができました。また、避難所では眠るのも苦しい状況でしたが、布団で眠ることができたのは本当に助かりました。ただ、熟睡ってことはなかったかもしれません。頻発する余震に気は張り、何かあったときにはすぐに動けるようにと落ち着かない日々でした。宿にいても食料が出てくるわけではないのですから、調達は必要になります。ここでもそこここでお店を開けてくださる方々がいらっしゃるということが本当にありがたかった。ただそのためには、もちろん外を歩くことになります。そんな中誰もが知っているであろう、福島第一原子力発電所の1号機と3号機は水素爆発を起こしていたわけです。いまいる場所はいったいどのくらい危ないのかなんてわからない。わからないから今思えば異様な危機感とともにマスクは2重にしてフードを目深に被り、出かけていました。100kmという距離が安全なのかどうか、それさえ自分で判断できるほど情報はなかったし、目に見えない感じないものへの言いようのない恐怖の中で生きていました。そして、忘れられてしまうことも多いと思うのですが、3/12には長野と新潟の境で震度6弱、3/15には静岡県震度6強など被災3県と言われる場所だけじゃなくいろんな場所で、東日本全体で大きな揺れがあったことは覚えておきたいと思います。

実家へ

いつまでも宿に泊まらせてもらうわけにもいきません。ただ、なかなか移動手段がなく困っていました。近隣が地元の人たちはなんとかなりそうとわかりつつも、関東へ向かおうとする人たちがうまくいきませんでした。どうやら、山形→新潟→大宮というラインは動いていそうだということまでわかり、あとは山形までどう移動するかということでした。幸いもともと1台だけ車はあり、さらにその人の実家から1台迎えにきてくれるということになりました。動けるならすぐにと夜中に移動することに。翌朝には他のみんなもそれぞれの場所に移動しました。泊めてくださったことがどれだけ安心に繋がったことか。ちゃんとご挨拶することもできず出てしまいましたが、次の大会のときにみんなでお礼をすしました。車での移動中、山形に入ったとたんに雰囲気が少し変わったのを覚えています。コンビニが通常とまではいいませんが営業していて、ものが買えるということが一番大きかったです。もちろん他の地域同様に食料品は少なかったのですが、電気の付いたコンビニがあるだけでほっとしました。被害の大きいところではコンビニやスーパーの中はお酒などが散乱した臭いなどもあり、とても通常の買い物という雰囲気ではなかったからです。翌日明るくなって少し周りを見てみると近隣の体育館などには多くの福島ナンバーの車があり、かなりの人が同じように山形に入ったことがわかりました。移動してきたメンバーのうちすぐに動けるか確実ではなかった人は少し会社のある建物の一室に置いて頂けることに。他のメンバーはここで別れて身内のもとに。ここまで来るともう身の安全という意味ではほとんど気にする必要がないほどに安心にできていました。芋煮をつくってもらったり、駅弁をご馳走になったり、本当にお世話になりました。思い出すと泣けてきます。この時期のニュースでは原発の炉心を少しでも冷やすためにホース車で注水したりヘリコプターから水を落としたり、ほとんどが原発関連でした。あとはイラク戦争のこと。日々のニュースやたくさんのネットの情報から今の福島やその周辺がどれだけの放射線量なのか、その数値は許容できるレベルなのかを考える時間が多かったです。最終的には大きな問題はないだろうという判断をしました。どんな情報から判断したかなどは書きませんが、このときの経験はとても大きなものだったのではないかと今にして思うのです。情報を取捨選択し、信用のできる数字から自分で判断する力はこのときどうしても必要なものでした。私も他のメンバーを見送ったあとは、車で新潟への電車が動いている駅まで向かい、新潟まで電車で、そこからは新幹線で地元のある関東まで戻ることができました。関東では計画停電も動き始めていたので電車が予定通り動くか不安はありましたが無事に帰ることができてよかったです。ちなみに当時の新聞5日分を取っておいています。読めてはいません。

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おわりに 

さてさて。長くなるのでこの後のことは別で。

最後に両方に書いておこうと思うことだけ。自戒を含め覚えておきたいことを。

どうしたって3.11については大なり小なり誰もが思うことがあるんじゃないかと思うんです。それは、直接的なものでなくても間接的にも、もしくはまったく無関係であることでさえも。だから、思い出すだけで疲れちゃうことだってあるだろうし、少し情報に触れるだけで苦しくなる人だっていると思う。「忘れない」「風化させない」って大上段に掲げたタイトルがこの時期は増えます。でも、別に全員がそうする必要はないし、いま元気でいることの方がよっぽど大事です。自分にとってよい塩梅で関わっていけるようにしていきましょう。真面目に向き合ってしまう人は不真面目になりましょう。そして、いまを生きましょう。

ひとつ、この時期に大事にしている言葉を。

「忘れろ、忘れろ、忘れろ。悲しみは片っ端から忘れていかないと人は生きちゃいけない。全部忘れれば希望が残る。」

音楽座ミュージカル「メトロに乗って」より


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音楽座ミュージカル「SUNDAY」が深いので、考えたこと…

音楽座ミュージカル「SUNDAY」が大変良くてですね。これが色々考えたくなる作品なもので。ここでは、がっつりネタバレして、思ったこととか考えたこととか書きなぐってみようかと。悪しからず( ̄ー ̄)


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変更されたラスト

いきなり最後のこと書いてく

水の役割

ラストに向かっては「水」が非常に象徴的に扱われています。「(きれいな)水を飲む」ということはある意味洗礼として表現されているのではないかなって思うんです。洗礼によって神に近づける、つまり聖者となるということに近いのではないかと。1度目は自分自身のことを振り返り、戻ってきたジョーンにレストハウスの二人が差し出す水。レストハウスに初めて着いたときの水は濁っており、お茶と勘違いしたジョーンが悶えるなんて場面がありますが、このときの水は澄んでいます。そしてジョーンは帰り道にロドニーに詫びようとする。そのとき乗り合わせた乗客の女からは「神の聖者なら」できるだろうけれどと告げられるんですね。その瞬間きっとジョーンはある意味我に返る。私は神の聖者ではないと。そして、汽車を降りたときには「砂漠で思った、それだけ」とバグダッドへ出発したときのジョーンに戻っているわけです。
でも、これで終わりにしないのがいいところだなって思っています。家に帰ったジョーンはこれまで通り、「私がいないと…」と言いながら何も変わらない日常に戻ろうとしますが、ロドニーの机の上にある水を飲み、農場をやろうとしたロドニーを止めたことがよかったかを尋ねるわけです。ロドニーはよかったと思っている、感謝していると伝えます。再度、この水によって神の聖者に近づけたのではないかと。
このときのロドニーの本心は定かではありませんが、少なくともジョーンは初めて自分の行動の是非を他人に委ねたんです。それは神の聖者ほどではないとしても、決して前のジョーンと同じではない、一歩前に進んだ形として描かれているんだと感じました。

原作と初演と再演と

原作では、セリフ同様にジョーンは詫びるのでなく、ただやっと帰ってきたとだけ告げます。どうしようもなく人間は変わらないということを描いたのではないかなと思います。自分の行動の是非を問う部分は初演にもありましたが、正直その結果を捉えにくく感じてもいました。ある意味舞台の上での表情からだけだと、原作と変わらないようにも見えたのです。
今回の再演、「私が終わる 私が始まる」のシーンで、ゲッコーとのデュエットのダンスが追加されています。ゲッコーがジョーン自身の影を象徴しているのはメインビジュアルでも表現されていますね。影というのは物語上よく使われる気がしていて、「ゲド戦記」でも影という存在をキーに、自分自身の影を受け入れる(一体となる)ことで全き(まったき)ものになるという姿を描いていています。それまで気づいていたけれど見ようとしてこなかった影を受け入れる、それを自分の影であるゲッコーとのデュエットダンスで表現したのだろうなと思っています。

私としては、この再演版のラストが本当に好きで、この物語の形が好物なんですね。バグダッドへ旅立ったときと、帰ってきたときでは異なるということ、つまり「行きて帰りし物語」となっているというのが私としてはツボなんです。最初にはまった小説は「ナルニア国物語」(衣装箪笥の向こうとこちら)でしたし、一番好きな映画は「千と千尋の神隠し」(トンネルの向こうとこちら)。彼岸と此岸という考え方もできますが、実生活と離れた場所で経験したことが、すべて持ち帰ることはできなくても、帰ってきてからの糧となるお話がたまらなく好きなんです。

宗教と絡めて

結婚

イングランドの話ですから、宗教としてはキリスト教。もしカトリックだったら(契約という言葉を使ってたりだしカトリックぽいかな)離婚というものには強い制約がある。結婚を契約とみなしているカトリック、その意味でブランチの行いやロドニーとレスリーのことも、かなり強く反発しているジョーンのことが理解できるかもしれないですね。ブランチに対して「何でそんなことができたの?」と言うのも ”したの?” じゃなくて ”できたの?” なのはその辺もあるかしら。

ワイン

ブランチとの再開では頑としてワインを飲まないジョーン。これもちょっとキリスト教に踏まえるとなかなか面白いです。
ワインは聖体と呼ばれるキリストの血にあたりますね。つまりキリストの犠牲をブランチは平気で飲み干す、赦しを得ることに躊躇がない。ジョーンは歯にシミがつくと飲もうとしない。犠牲を受け入れず、イエスの赦しとなるはずだったワインを飲まないというこで、「赦されなければならないの」と言って取り乱す状況を暗示しているかのようです。

他人を愛さない限り、人生の本当の意味はわからない

いわゆる隣人愛を説いているセリフかなって思うんですが、どうでしょう。自分を憎むものでさえ愛すのだというのが隣人愛らしい。このセリフ3度出てきます。
時系列で言うと最初は聖アン女学院の「ギルビー校長の面談」で出てくるんですね。このとき生徒はまぁ校長の言うこと聞いてません笑。ただし、この言葉のときだけブランチが神妙な面持ちで聞いているんです、ほかのところは後ろの人としゃべったりしてるのに。再演からですかね、これ。
そして2回目、バグダッドのカフェで再開したブランチがジョーンに対して言います、序盤だからこそめっちゃ意味深。ジョーンは忘れている感じでしたね。
で3回目、「SUNDAY」でジョーンが思う中でギルビー校長が話、対面の位置からブランチが続きます。ブランチやギルビー校長のシーンはダンスナンバーにもなっているので流してしまいがちなのですが、ジョーンにとって大きな言葉を投げかけているんですね。
対比の仕方で言えば、レスリーも新しい命に「人生の落伍者なんていない」という象徴として考えています。この考え方自体もそうですが、レスリーの言動ひとつひとつは常に隣人愛に溢れているので、赦される側の存在なのかな。ただし、結果生きているのは…というところの現実があって、、、それでもレスリーは自分の人生を生ききることができたんじゃないかなと思います。残された者としては厳しいかもしれないけれど、レスリーの生き方を間違いとしないようなあの後があるんじゃないかって思いたい。

イスラム教とヒンドゥー教

レストハウスではインド人とアラブ人がいます。ジョーンがロドニーに手紙を書くシーンでアラブ人が大声を出して笑いを取る場面があります。あれは1日5回の礼拝(サラート)ですね。これは義務です。だから彼からすれば当たり前のこと。そう考えるとアラビア諸国で上演したらあそこは笑いになるのか?というのが疑問になってきて面白いですね。ちなみにインド人はおそらくヒンドゥー教でしょうから、同じ時間に礼拝を行っていないことも当然といえるでしょう。
もう一つの笑いどころとしては食べ物ちゃんとあるよ~ってところで出てくるのがみな缶詰ってところ。①サケの缶詰②すももの缶詰③豆の缶詰。つまるところ肉がないんですね。これもレストハウスにいる人たちの宗教を見るとなるほどってなる点です。
「砂漠のご案内」の曲中にたくさん神が出てきます。ヒンドゥー教の神様ですね。世界の最初に水があって、種を蒔いたら卵になって、そこからブラフマーという神が生まれた的な話もあるらしい。そしてブラフマン(宇宙の原理)は概念的なものだそうな。なるほどわからん 

シェイクスピアソネット

『SUNDAY』の原作『春にして君を離れ』の題名はシェイクスピアソネット98番「From you」の一節からきています。また、作中ではロドニーとレスリーの間で18番も出てきます。

18番「Shall I compare thee」

アシェルダウンの丘で4Feet離れてロドニーとレスリーが話す場面。

「汝がとこしえの夏は移ろわず」
But thy eternal summer shall not fade

レスリーの台詞ですが、伝えるつもりはなかったかのように、発してしまったあとに目を伏せる。18番を読むと、変わりゆくものと対比しながら今の相手の美しさは永遠であることを伝えている詩になっています。お互いが見つめる瞬間がなく、ただその視線は感じて、いずれかは前を向いているという距離が絶妙な違和感。

Rough winds do shake the darling buds of May,
And summer's lease hath all too short a date.

レスリーの18番を受けてのロドニーの台詞の原文。「夏の1日」と「心なき風」はレスリーとジョーンを隠喩しているかのように感じます。この辺りは本当にロドニーががっつり怒っている感情が溢れるようになっていて好き。原作では間に116番も挟まれていますね。 

98番「From you」

From you have I been absent in the spring,
夏の装いも君と離れて過ごしているうちは冬のようで、それなら夏のそれを君の影として戯れていよう、という感じかしら。

1回目は「こんなに家を、ロドニーを離れたことはなかった」の後。ロドニーと離れていた時間をこの詩に重ねていて、この時間を何もないと思っていた砂の中で大きいのが出てきたものとして自覚するんですね。それを教えてくれたブランチを回想の中では求める。そして春にチャールズ家に行ったことを思い出す。この詩が春から夏に入るころを詩っているからこそ18番との繋がりを感じるし、レスリーとの対比が効いているなと思うのです。「春から夏へ移り変わり」ですし。実際観ているときはジョーンのこと考えている余裕などなく、「すべてが私の日」にどっぷりなんですけどね(;・∀・) 逆光の告発で自分に向き合った結果出てくるのもこの詩。離れるという意味が「家を離れている時間」から「ロドニーの離れている気持ち」へと変わっているのかなと。

その他

盆の回る方向

作品の開始からずっと盆は時計回りに回り続けます。ただし2度、正確にはラストに向けて盆は反時計回りに回るんです。物理的な「行く」と「帰る」ではなく、ジョーンの心理的な部分で方向を変えているんじゃないかなって思います。
基本的にはジョーンの独白、自身を振り返ることで物語が進んでいきます。そして最後、帰ってロドニーに詫びよう、やり直そうという決意をしたときから盆は反時計回りに回り始めているような気がします。なので、ジョーンが「わかってた、全部」「ただ、よくやったって言って欲しくて」と素直に自分の気持ちを認めたときから盆が回る方向が変わる。そして乗客の女とのシーンも気持ちとしては揺り戻しが起きているんだけど、汽車を降りるまではその決意は変わっていなくて、やり直そうとしている。
ただ、汽車を降りる瞬間、ゲッコーの「砂漠で思った、それだけ」を聞いたときに、また盆の回る方向が変わります。ここから家に帰ってくるときには、これまで通り時計回りで(やり直すつもりがない)。そして、水を飲んだ後も盆は回るのですが、ここからのジョーンの気持ちとしてはやり直すことより、これから積み上げていくことを選んだんじゃないかなと思うんですね。だから最後に回る方向は変わらない。

う~ん正直ここの回る方向とその意味は自信ないけども…

バーバラのハグ

「スカダモア家」のナンバーの序盤でバーバラは誰の子どもを友達とするかを強要され、あきれながら「OK、ここはお母さまの家ですものね」と言いつつ、しかめっ面でハグをする。その後ウィリアムと結婚し(ジョーンとしてはもっと近くにいてほしいと反対するが・・・)、バグダッドへ旅立つ。バグダッドで何があったのかは2幕含めて語られるところですが、バグダッドにて少佐に捨てられたという話が入ってきます。捨てられた後に薬を飲んで自死を図り、倒れたところをウィリアムが見つけ助けられるという流れ。「スカダモア家」の終わりではジョーンが見舞いを終え、バーバラと別れるシーンのみ描かれます。このとき、バーバラは「もう少しこちらにいらしたら?」と引き留めるセリフがあります。ウィリアムはこれからの長旅だからと帰らせようと促す。バーバラはお母さんに帰って欲しくないと思っているのではないかと思うんです。別れのハグではちゃんと手を添えているのだから。ウィリアムとしてはそこまでのことを図れてなくて、ジョーンの印象はバグダッドに住むことを伝えたときに反対されたときのままかな。

逆光の告発(事実と思ったこと)

小説では視点がある意味固定されてジョーンの回想になるけれど、舞台ではその表情も言葉もその人自身が発したものとして見ることができる。どれが事実でどれがジョーンの回想なのかを意識してみるのもいいかななんて。バーバラのハグなんかはその最たるものじゃないかと思います。結局このナンバーについては思ったことでしかなくて、子どもたちが実際にどう感じているかはわからない。だからこそ、汽車を降りる瞬間に「砂漠で思った、それだけ」とそこから目を背けることもできるんじゃないかとか考えてみたり。

スカダモア家

ゲッコーが最初にこの物語の舞台設定を説明しジョーン・スカダモアの紹介と「スカダモア家」の曲へ。この流れ本当に素晴らしい。「スカダモア家」ではその名の通り家族構成・そして一人ひとりの想いを各人が語ることになります。しかもバーバラのお見舞いが終わるとこまで一気に進みます。この時点で「作品のテーマ」と「登場人物」「それぞれの抱えているもの」を把握できるんですね。絶妙。 

ジャック・デリダ

パンフレットにも出てくるデリダ。出てきた瞬間叫びそうになりましたよね。なにせ初演のときSUNDAYを観て最初に考えたのがデリダだったものですから。※私は専門家でもなんでもないので、かなりテキトーなこと言っていると思いますが悪しからず
哲学的に言うところの「差延」にあたる話でしたね。ジャック・デリダの話をすると必ず出てくるのが「脱構築」というものになります。が、この話をし出すと大変なことになるので、また別の機会に。

雑多なやつ

まず始まり方からしてずるいですよね。携帯が鳴るというのを劇場空間だとかなりシビアに感じますし、それが一瞬どこから鳴っているがわからないんですから。周りに座っているひとも誰だろうって話になってましたね。それにしても千秋楽ですよ。それまでずっと徐々に移動しながらで電源切っているか聞くのは下手側だったじゃないですか。何故最後に限ってひょいっとこっち向くんですか(笑)。突然聞かれても反応しきれません。電源は切ってましたし、もはや他人事じゃないので横に首振りましたが、「さっきも鳴ったんだから」ってゲッコーさん。確かに鳴ってたわってなったよねww。
※びっくりしすぎて動きがカクカクしていたようです(お隣さん談)
最初にテーマを提示するのも、初めて見るときには非常に助けになるなって思います。いま繰り広げられていることが何を意味しているのかとかって、何もわからないと迷子になったりよくしますから。

出てくる言葉も何度か繰り返してリンクしてくることが多いですね。「戦争」「大丈夫」「わかってたらするもんですか」「勝つ」など。ジョーンの大丈夫とレスリーの大丈夫とかけっこうやばい。この作品の中で出てくる「勝つ」って言葉は「負け」を含んでますね。こういうのを脱構築って言いますが…やめます(笑)。音楽的にも同じメロディが繰り返されるので、単純に覚えられるってのもありますが、シーンごとのリンクが音でも出てきて深みが増します。

全編通してかなりえぐられる作品ですが、やっぱりレスリーに惹かれるかな。無理しちゃダメなんて言われても、やっちゃうんですよね。でも、死なない程度にね。


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ちなみに乗客の女の「私はまだ乗らなくてはならないの」がわからんのが悩みの種です…

おしまい_(:3 」∠)_

2020年舞台関連の振り返り

今年はどのくらい観たかってまとめるのはやめて、印象的だった作品をさっくりまとめておこうと思います。なんだかんだ割と楽しんだ気がしている。

エブリ・ブリリアント・シング


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あんまり観る予定ではなかったのだけれど、なんだか身の回りでもとても評判よくて、観ておかないと損する気配しか感じなかったので当日券に並びました。
こんなに幸せな空間は今まで経験なかったかもというほどの作品。イマーシブシアター形式で、開演前に希望者に紙を配り、そこに書いてある番号を呼ばれたら、記載の文言を答える形で物語が進んでいく。番号も1から順番ではないし、呼ばれたことに気づけなかったりもするのに、成立させる力は本当にすごかった。毎公演絶対に同じことにはならない状況だからこそ、その瞬間を精一杯に楽しむことができる作品。この情勢が落ち着かないことには再演も考えられない作品かと思いますが、また体験したいです。

未開の議場 オンライン

note.com

演劇が瞬く間に中止になっていった中、配信での演劇の先駆けみたいなものになっていたような気がします。Zoomで会議しているという状況そのものが演劇関係なくリアルなものなので、それをのぞき見しているような感覚とともに"観劇"しているという実感がありました。実際にリアルタイムに俳優さんはZoomを使っているので当然ラグはあるわけです。ゲネプロとしての配信から本公演としての配信では、特にそこを工夫し解消され、30分くらいは公演時間短くなってたんじゃないかな。前の相手のセリフのどこの言葉から反応するかというのを綿密にしていったとか。その結果、非常にテンポもよくなり演劇らしい緊張感が出ていたんじゃないかと。ただただ舞台を配信するだけでは、どうしてもリアル > 配信になっちゃうから、未開の議場のように配信ならではが増えるといいなと思います。

メル・リルルの花火


おぼんろと言えばもはや密どころではないレベルなので、この状況になったときにどうするのかはとても気になっていました。通常の公演形態から、舞台が中止になり始めたときには完全配信で複数のアングルを見られるという形になり、緊急事態宣言となると俳優陣も集まるの諦め、それでもリモートかつリアルタイム配信を決断してくれたのは本当に嬉しかった。『待ち合わせ』をしているという言葉が今聞いても泣けてくる。ほとんど毎日あの一週間超は、その時間にあわせてそれぞれのクルパジムンスタイルで、耳で物語に連れて行ってもらい、それぞれに工夫されたパフォーマンスも拝見でき、4月のあの期間は貴重な時間だったなと思います。

youtu.be

VIOLET

全公演中止となった後に3日間だけ復活して公演されました。ちょうど仕事も大変なタイミングでチケットも取れておらずでしたが、奇跡的に休みが取れ、奇跡的に当日券を取ることができて観劇できました。2016年に別カンパニーで公演されたものが本当に素敵で、大好きになった作品。ブロードウェイで主演をされたサットンが来日してのコンサートも行ったな~。人種差別とかルッキズムとか裏には戦争も絡みながら。本当はもっとキリスト教のことも知っていればわかることも多いんじゃないかなって思うけれど…。On My WayとBring Me To Lightが好き。

 シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ

こちらはまぁ言うまでもなくって感じはしますが。4回観ましたが、うち3回は大阪で。東京チケット全然取れないんだもの。初めて井上芳雄さんを拝見しましたね、なんで今まで芳雄さん見ずに観劇できたのかという怪奇現象が払拭されてよかったww。ゆうみちゃんの佳代はね、この作品自体とともに間違いないと思っていたのですよ( ´艸`) これがきっかけで、音楽座に興味持ってもらえた方も多かったんじゃないかなと思うので、年始に公演できて本当よかった。東宝さんありがとうございます。

おわりに…

今年は誰にとっても大きな年になったんじゃないかと思いますが、私自身にとっても大きかったですね。いろいろあった…。でも、どんなに辛いときでも、今まで観てきた作品が助けてくれている気がします。これからもそんな作品が増えていったらいいなと思います。来年もどうぞよろしくお願いします。

2020年を振り返ってみる(音楽座ミュージカルのこと)

2020年も終わりですね。振り返りと言いますか、ただただ感謝してるってことだけツラツラと。

う~ん。だいぶヤバい人だな。まぁいっか。

 

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文化庁芸術祭賞(演劇部門 新人賞)」受賞!!

令和2年度(第75)回文化庁芸術祭賞(演劇部門 新人賞)」受賞!!高野菜々さん、音楽座の皆さん、本当におめでとうございます!!

正直なところ賞について詳しいわけじゃないので、どんな賞なのかなって応募要項読んでみたんです。そしたら対象公演の期間がめっちゃ短い。東側は10/12~11/10の間で公演されているものということで、つまり10/31と11/1の稽古場公演が対象となっていたわけですね。もともとその期間に公演しようとしていたかはわかりません。ただ、SUNDAYの千秋楽は延期なければ7月でしたし、その後に選考対象として公演を打つのは難しいだろうと想像します。そういう意味でも稽古場を劇場にできる強さはあるなぁと。この稽古場を使った公演を含めてラボシアターという形で色々な上演方法を模索してきた音楽座の皆さんだからこそ、このタイミングでの受賞となったのではないか、これまでの活動が実を結んでいるんだなぁ…なんて考えてたら泣けてきてしょうがないですね。SUNDAYは初演時にも権利関係で上演が延期となり、今年の再演でもコロナウィルスの流行に伴うもろもろで延期となった作品。そのどれもが巡り巡って今回の受賞に繋がっている気がして、無理泣く。

※初演のときの延期の結果、ミュージカサイズで引っ張りだされたなぁってのも、いいおもいで…いや、配信はちょっと、まぁいいけども(笑)。メイトの皆さんお目汚しすみません。。。

TogetheR復活!!ニコニコチャンネル開設!!たくさんの配信ありがとうございました!

自粛期間、音楽座はさまざまな形で今を届けてくださいました。SUNDAYの稽古場見学が2月末より中止になり、舞台も続々中止になっていく中どうなっていくのだろうと不安ばかりでした。そのような時勢のなか、シャボン玉の「公園(ドリーム)」の配信、メイトでは7作品同時配信、TogetheR★の復活、ホームの無料配信、ニコニコチャンネルの開設、インスト曲のCD発売、距離をテーマにした「4feet+」の配信(ダイジェスト:音楽座ミュージカル「4feet+」ダイジェスト - YouTube )、イチナナでのマチダーSの配信、ショーマチもときにはラジオ形式にしながら、その一つ一つが暗い気持ちになりがちな今年の毎日を楽しみなものにしてくださいました。TogetheRは私が観始めたときにはもうなかったもので、こうして復活した配信をしていただけて嬉しかったです。配信も後ろで対応しているのは俳優の皆さん。企画からカメラ、音響に音楽、1から作り上げてくださる番組がとても暖かく、そして新鮮で面白く、本当に幸せな時間となっています。少しずつ公演も始まっていてお忙しいとは思いますが、ほそぼそとでも続けていっていただけると嬉しいです。リモートならではの面白いZoomあるある動画もありましたね。実際にあったことがベースになっているとのことで、リモートが始まったころの会議を思い出しました。

【Zoomあるある】はじめてのZoom職員会議 Ver.2020.5.8

 

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VRの収録とか

SUNDAY

そして、公演再開が9月。発表があったときは本当に嬉しかった。

それも「SUNDAY(サンデイ)」シネVR特別版!!ずっと舞台はVRにしたら最高なんじゃないかって思っている人間なので歓喜でしたね。リトルプリンスでチャレンジが始まったVR、アルファコードさんと協力しながら始まったのは2018年でしたね(リトルプリンスVR|音楽座ミュージカル)。その後も「LITTLE PRINCE ALPHA」と続いて。(ヒューマンデザインとアルファコードの「LITTLE PRINCE ALPHA」が「グッドプラクティス・アワード」奨励賞を受賞 - VRonWEBMEDIA(ヴイアール・オン)

特別版ではVRカメラを3台も導入しての撮影。繊細な機械ですので、少しバタバタもありつつの撮影も楽しかった。(タイタンちゃん3台とか興奮しますね(・ω・))その撮影風景も見ながらどんな映像になるかなって想像しつつの観劇もワクワクでした。そのときのVR映像も一部公開されています。
 上手から:【VR stage right】Ongakuza Musical「SUNDAY」Digest
 下手から:【VR stage left】Ongakuza Musical「SUNDAY」Digest
 2Dのも: 【2D】Ongakuza Musical「SUNDAY」Digest
全編公開されたときにはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で見たいですね。
※2時間以上だから休みながらでないと酔います。きっと。

12月には草月ホールでの公演。もともとは4日に分けての公演だったのですが、土日2日間で4回公演。タイトな日程で観る方もなかなかしんどい(笑)。ゲッコーさんに携帯の電源切っているか確認されたのは本当にびっくりもしたけれど。千秋楽カテコでは堪らなくなりました。この1年のすべてがこのときに詰まっていたんじゃないかなってくらい、たくさんの気持ちが溢れてきて。そして、年末年始配信も。今だからこそ作品をたくさんの方に見ていただける環境が作れたのかもしれませんし、これがきっかけでより広まると嬉しいですね。

ショーマチ

最初にVRに手を出し始めたのはショーマチからでしたね。
2017年の5月に始まって、とってもゴーストの公演ではVRの生中継。まさかの市長も参戦ww

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劇場いたけど、どうしても終電間に合わなくなるので、公演終わって帰りの電車で配信みてましたわ。もうそこから4年以上ですね。配信100回記念も見えてくる!!
昨年からはショーマチフェスも開催されて、今年もVRを使った配信で盛り上がりました。昨年のフェスで誕生したダミンシティで開催されている集会にはなかなか時間あわずに参加できず、幽霊市民化していますが、住民税は払っておりますのでお許しを(;・∀・)
音楽座の治外法権。SUNDAYで興味持った方が見始めるには覚悟が必要なショーマチ。
こーゆーのがあってもいいじゃない!笑
“珍しく”初見にやさしいゲーム実況回置いとくww(Blinkyのアプリでも見てね♪)

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今年は第2回のフェスもオンラインで開催お疲れ様でした。ショーマチらしさが満載の絶妙な笑いどころが大好きです。タイタンちゃん神

マチダーS

忘れてはいけないのがマチダーS

とりあえず「ドキムネ★ブギ」を見ましょう。youtu.be

17.liveで始まったマチダーSの配信。外に出てはいけないってなって、今年はこの形の配信ってすごく増えましたね。2月にCDも出さず、対バンでもなく、いきなりのワンマンライブを開催したマチダーS。5月からは認証ライバーとなって3人それぞれでの配信。公演で忙しくなるまでは本当に毎日配信で。朝やって夜またやったり、何時間やるん!?ってくらい連続配信したり、進撃ガチ参戦というお祭りを一緒に経験したり。こんなに同じ時間を過ごすのって改めて考えると不思議な感覚です。「かいならす」ってこのことなのかなって実感して。だからこその距離感について考えたりもして。
たくさんの時間を過ごしたからこそ、楽しいことばかりではなかったと思います。ライブ配信やったことなかったでしょうし、最初の頃は30分も何するの?って感じでしたし。見る側としても新しい形に戸惑いながら。今となっては30分なんて時間気にしながらじゃないとすぐに過ぎちゃいますが、そんな時代もあったな~って。その配信のおかげで生まれた繋がりがあります。単純に観劇していただけでは会話することもなかったかもしれません。今では今年初めてお話したとは思えないくらいになってます。それも皆さんが毎日継続して配信を続けてくれたからです。本当に感謝しています。
そして、12月に念願のCD発売もおめでとうございます!年末に向けてイベントに公演・ラジオと本当に忙しい日々だったのではと思います。そのどれもが楽しく、愛おしく、幸せになるものでした。
「あなたもわたしもマチダーS」

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おわりに…

2015年に星の王子さまをミュージカルにしているというのを見つけ、勢いで観劇したのが音楽座との初めての出会いでした。ちょうどサン=テグジュペリ著作権保護期限満了の時期でもあり、星の王子さま関連の作品が増えていたので見つけることができたのだと思います。今思うと初めてなのにいきなり幸田公演に行っちゃうのって…(-ω-)。あかりさんが参加されていたというのもきっかけの一つ。そこからこんなにどっぷりいくなんて予想できませんでしたね。大事なものを教えてくれそうな気がしたんです。そしてその直感は正しかったなって、5年前の自分をほめたい!ほめちぎりたい!!笑。毎月1作品配信が決定されたのを機に、リトルプリンスの公演終わりにメイトになったのも懐かしい。「入ってると思ってた」なんてお話したり、、、カードの登録うまくいかなくって時間かかっちゃったんだよなぁ( *´艸`) メイトイベントもいつもいつも皆さんが頑張って準備されているのを感じて、参加する度に音楽座が好きになっていきました。2020年、誰にとっても大変だった1年、こんなにたくさんの思い出を作れたのは音楽座があったからだなって思います。

本当に本当にありがとうございました。
これからも大事に、通わせてもらいます。
少しずつでも、広まっていきますように、届きますように。
2021年もどうぞよろしくお願いいたします。

2020年に読んだ本たちを振り返る

年末ですので、読んだ本を振り返りますかね。
数えると55冊の小説を読んだらしいです。再読もありますけどね。ちょっと少なめかな。

2020年の本ベスト約10冊

 盤上に君はもういない / 綾崎隼

女性棋士のお話。女流棋士ではなく、初の女性棋士になろうと戦い、生きていった人たちの物語。何故将棋界に女性棋士はひとりもいないのか?って疑問をきっかけに始まったという作品。帯の一言「もう一度あなたと指したい」が読み終わるとほんとに泣ける。レポートの中にある「フルーツバスケット」とか「ヒカルの碁」の雰囲気もなるほどな~ってなります。将棋のことよくわからなくても、ひとつひとつ分かるように書かれているのだけれど、その説明が物語の中で必然性もって描かれているから一気読みしちゃう。そして泣く。

kadobun.jp

この本を盗む者は / 深緑野分

御倉館の蔵書を盗むとブックカースという呪いにかかる。町全体が物語の世界に浸食されてしまう中で盗んだ者を捕まえないとその呪いは解けない…なんてお話めちゃくちゃテンション上がるじゃないですか!!小さいときに親に読み聞かせしてもらってたら、その時間来るの待てずに1人で読み始めちゃうやつ!(ナルニア国物語で私がやったことです笑)ブックカースかかりたい!こんな物語がずっと残ったりするんですよね。大人になってもそのワクワクは、かけがえのない時間だったなって思えるような。キノベス2021も第3位!!おめでとうございます!

kadobun.jp

52ヘルツのクジラたち / 町田そのこ

今年話題といえばこの小説って印象。

・第4回未来屋小説大賞
・「読書メーター オブ・ザ・イヤー2020」第1位
・『王様のブランチ』BOOK大賞2020」

他のクジラには届かない52ヘルツで鳴くクジラ。世界で最も孤独なクジラ。苦しい場所から逃れてきた女性と、話すこともしないボロボロの少年が出会い前に進んでいく物語。
ネグレクトやDVなど非常に苦しい部分を含んだお話だから、つらい部分もある。そんなつらい気持ちの52ヘルツはきっとどこかに存在しているし、気づけるかどうかはわからなくても、聞こうという気持ちでいないといけないなって思う。昨年の本屋大賞が「流浪の月」で、すごく繋がりを感じながら読みました。外から見た世界と中の世界の違いとか、じゃあどう関わっていくべきなのかとか、とっても地道で時間のかかることが大切なんじゃないかって考えるようになってきている今日この頃。

hon-hikidashi.jp

水を縫う / 寺地はるな

例えば、「女子か」って言われることがある。寒いのだから膝掛けくらいさせておくれと思う。何かで括って「ふつう」を作ると排除されるものがどうしても出てくる。ひとつの家族の中で、互いが互いを括ってしまって身動きとれなくなってしまっている空気から、少しずつときほぐされていくのが心地よい。そんな物語。水って、溜まってたら濁っていくけど、流れていたら澄んでいくんだってこと。おわりの空気感というか、関わり方の変化というか、ほんとうに素敵なお話。

pdmagazine.jp

イマジン? / 有川ひろ

映画製作現場のお話。出てくる現場が知ってる人にはもう堪らない。割に体育会系な感じがあって、受け付けないひともいるかも?私的には苦手なものの住んできたとこでもあるので親近感ある。大事なのって結局すごく具体的に現場にあるものだよね。外から見たら善し悪しなんて簡単にはわからないし。がむしゃらに目の前のことやるのって素敵だし、かっこいい!

shosetsu-maru.com

始まりの木 / 夏川草介

神様のカルテが好きで、お医者さんのお話だよね~って開いたら、まさかの民俗学。偏屈な学者と大学院生がフィールドワークという旅をするお話。皮肉たっぷりのやりとりが愛おしくて可愛い。ご本人がお医者さんだからこそ感じる不思議な体験も、この旅の物語で入ってきているのかな。たぶん自分はいわゆる無宗教と呼ばれる範囲の人間なんだと思うけど、大切にしたいものがないってことじゃなくて、それはとっても日本人的なものじゃないかと思うのです。

shosetsu-maru.com

魔女たちは眠りを守る / 村山早紀

本屋大賞ノミネート作品を読んでみようと思った2017年本屋大賞のときから、がっつりはまった村山先生。御影の日向先生(後述の火狩りの王の作者)とのイベントも伺って、あの時間は本当に幸せだったなって今でも思い出します。
魔女たちがひっそりと今の世界で静かに生きていて、ちょっぴり寂しく、やっぱり優しい物語。全7話になるのだけれど、個人的に好きなのは6話。お人形の物語。ひととき大事にしていたものも忘れちゃいがちで、でもその時間はなかったものではなくて。魔女たちもきっと神様みたいに目には見えないけど、どこかで見守ってくれているんじゃないかって思えてきます。猫かわいい。

www.lettuceclub.net

火狩りの王〈四〉 星ノ火 / 日向理恵子

WOWOWでのアニメ化おめでとうございます!!

【製作決定!】WOWOWオリジナルアニメ「火狩りの王」|番組インフォメーション|WOWOWオンライン

重厚なファンタジーで最初に出版されたⅠから完結となったⅣまで追いかけてきた作品。人類最終戦争で人類は天然の火に近づくと燃えてしまう身体になり、炎魔を狩ることで得た火しか扱えなくなってしまった世界。イラストは十二国記でも描かれている山田章博さん。
1巻目を読んだときに、自分の中のファンタジースイッチがONになりまして、ググッと世界に引っ張られました。苦しい運命に翻弄されながら、ボロボロになりながら、それでも生きていかなきゃならないってことを、灯子と煌四の生き様から強く突きつけられたような気がします。
日向先生の絵ほんとかわいい。狩り犬かわいい。

holp.jp

楽園の烏 / 阿部智里

八咫烏シリーズ」の第二部始動!!「烏に一重は似合わない」から毎度やられたっ(*゚ロ゚)ってなる作品。そもそも始まりはこちら側の世界だし、あちらに行ってみたら第一部からは20年も経っているしで驚きの連続。20年経っていますが、やはり好きだった彼らは健在というか…。1冊の中でここまでかと衝撃でした。あのときのキャラクターがここでは…ってのを追いかけ続けられるのはシリーズものの醍醐味ですね。ダ・ヴィンチ11月号の武田綾乃さんとの対談も嬉しかったな。

books.bunshun.jp

鬼人幻燈抄 / 中西モトオ
 [江戸編 残雪酔夢、幕末編 天邪鬼の理、明治編 徒花]

こちらも初期から追いかけているシリーズもの。小説家になろうでも読めるのですが、横書きで小説を読むのがどうやら苦手なもので、単行本の発売を待っているのです。江戸から平成までを綴っているのですが、現時点では明治に入ったところ。江戸という時代でも明治という時代でも鬼はいて、時代の移り変わりとともに鬼たちが人間とどう付き合っていくのか、主人公の目的は果たされるのか、大きな物語の軸がありつつ人間の確かな生活もあり、どの時代の作品も目が離せません。

note.com

おわりに

ちなみに去年はどうだったかというと…

なかなか被っているww
もはや作家さんで言ったら半分は同じじゃないかと。

2019年の末から2020年明けまで十二国記を始めから読んで。本屋大賞2019ノミネート作品が発表されてからは10作品すべて読んでのランキング予想をしてみたり。シリーズものとしては活版印刷日月堂も最初から最後まで読んだりもしました。あと少しで本屋大賞2020のノミネート発表もありますので、そちらも楽しみにしつつ、来年も新しい作品に出会っていければよいなと思います。


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音楽座ミュージカル「SUNDAY」配信見て欲しい。とっても

音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」をどうしても見て欲しいってだけで書きます。公演は終わっていますが、配信がありますので

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SUNDAYのあらすじ...のようななにか

アガサクリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で発表した小説「春にして君を離れ」を原作としたオリジナルミュージカル。初演から観劇していて、今回の草月ホール公演で合計13回も観たことになったようです。。。まじか・・・一応ライオンキングの方が多いのですが、あっちロングランだし。もはや再再演あったら抜きそうな勢い(笑)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) | アガサ・クリスティー, 中村 妙子 |本 | 通販 | Amazon

お話としてはイングランドに住むスカダモア家の母ジョーンがお嫁に行った次女のバーバラが倒れたとの報を受け、バーバラのいるバグダッドにお見舞いに行く。その帰り、大雨により砂漠に足止めをくらい、テル・アブ・ハミドのレストハウスにて自分の人生を振り返っていくというお話。帰り道に聖アン女学院の同級で遺跡発掘しているブランチに会ったりロンドンへの帰りの汽車で謎の乗客の女が隣に座ったりしますが、誰も死にません、はい、死にません。どんな家族関係かってのは「スカダモア家」(名前そのまま)を聞いてもらったらわかると思います。

「スカダモア家」年賀動画です。2020年の年明けとともに配信されました。贅沢。

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本当は5月に開幕する予定だった本作、1月から稽古を開始して劇場稽古までしていたのですが、まぁ2020年ですから当初予定していた時期には公演できず延期となり12月になったということになります。本作9月にも、映像作品としても残すため上演されており、そのときの映像が12/28(月)~1/3(日)に配信されます。ジンバルカメラ(スタビライザー)で舞台上に上がっての撮影もされておりましたので、ものすごい臨場感になるのではないかと。その角度見たいぃぃって叫びそうになりながら撮影見てたので。俳優さんからは映画みたいだという話もありましたので、是非。

ちなみに同じ撮影方法で配信された「4feet+」のダイジェストはこちら

youtu.be

文化庁芸術祭賞(新人賞)受賞

なお、ジョーン役の高野菜々さんが「令和2年度(第75)回文化庁芸術祭賞(演劇部門 新人賞)」を受賞しました!!!めでたい!本当におめでとうございます。

高野菜々が「令和2年度(第75回)文化庁芸術祭賞(演劇部門 新人賞)」を受賞しました|音楽座ミュージカル

音楽座としては1994年のリトルプリンス以来ですかね。本当にうれしい。泣く。ご本人のお言葉も載せておきます。読んでると泣ける。

SUNDAYについて

舞台セット

大がかりなセットはなく、舞台中央に回る盆がひとつ。小道具としての椅子や机・布を使いながらそれぞれのシーンを描きわけられます。椅子は何かの象徴のように使われることもあり、豪華絢爛な大道具なくても想像を掻き立てられ、飽きることがありません。特に大きな布の使い方、これが本当に圧巻です。音楽座ミュージカルの特徴でもあると思いますが、いわゆる暗転での転換が本当に少ないです。じゃあどうするのか、、、SUNDAYはね、この布でね、スーーーバサーーーってね。最高ですね。

どゆこと?って興味もった方は是非配信みてください!!

お話のこと

推理小説ではないもののなかなかホラーな部分のある作品を原作としていますが、特にレストハウスでのシーンは笑えるところもあってエンタメとしても楽しめるかと。ただ、最初に作品のテーマが提示されますので、観客としてはずっとあれはどういうことだったんだろう?って考えながら物語を追っていく形となります。そして、ジョーンという人となりが見えてくると、徐々に心えぐられていきます(笑)。

----(閑話休題)----
音楽座は都度のキャストを外部からオーディションしてきている劇団ではないので、ずっと同じメンバーで稽古を続けているわけです。ましてや今年は1年間この作品について考え続けているわけですから、何と言いますか、まとまりというか、全員同じ方向に向かっている感というか、見ている方も作品に集中できるんですね。ダンスシーンもそんな詰まったとこでそんな衣装で怪我しないのか!?ってくらいな勢いで踊るんです。互いの呼吸がわかっていないとできない芸当なんじゃないかなって。
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えぐられ具合の話に戻ります。

1幕ラストとかピリピリしてヤバイです。2幕でジョーンが自分のことを見つめなおすときとかも。あのときってもしや?私がしてきたことって?ってなることありません?最後にどのような結末になるのか、原作との違いなども含めて色々深読みできちゃうので何度も観て感じていただきたい作品。グサグサえぐられたい方はお願いですので配信みてください!!!

配信の買い方・見方

ジョーンの旧友ブランチ・ハガードと愉快な仲間が配信チケットの買い方・配信の見方を説明した動画も出ましたので、もしわからないという方、わかるけどブランチとかインド人・アラブ人好きな方はどうぞ(謎に始まりおしゃれww)

youtu.be

公式HPはこちら

www.ongakuza-musical.com

音楽座のオンラインストアもあります 

こんなの売ってます↓↓

  • 「SUNDAY」パンフレット
  • 「SUNDAY」CD
  • 「THE BEST Ongakuza Musical instrumentals by Hiroshi Takada」
    ※音楽座のインストを集めたCD
  • 2021年カレンダー

などなど…ほかにも直近の上演した作品関連も色々売られています。

ongakuza.thebase.in

「SUNDAY」の配信みてください!!

残念ながら公演も延期できたものばかりではなく、広島公演は中止となってしまいました。そこで配信を広島公演の日にしようとしていたが、より多くの方に見ていただきたい!ということで年末年始での配信に切り替えたという経緯があります。また、アガサクリスティーの原作です。権利関係も簡単ではなかっただろうと思うんです。それがこうしてたくさんの調整の結果(と想像(・ω・))配信してくださるということが本当に嬉しいし、できれば少しでも多くの方に見ていただきたいと私も思います。

ので、もし、お時間許せば、この音楽座ミュージカル「SUNDAY」にお休みの時間を充てていただけるといいな…なんて(もはや誰←)

◆音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」舞台映像オンライン配信

配信日時:2020年12月28日(月)19:00開始
アーカイブ:2021年1月3日(日)22:00まで
上演時間:約2時間30分
視聴料金:4,400円(税込)
配信場所:イープラス「Streaming+」

★期間中は何度でも見られます!!

eplus.jp

おしまい_(:3 」∠)_