みっち の おもひで

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観劇・映画・小説などなど。折りに触れて思い出せるように…

2020年に読んだ本たちを振り返る

年末ですので、読んだ本を振り返りますかね。
数えると55冊の小説を読んだらしいです。再読もありますけどね。ちょっと少なめかな。

2020年の本ベスト約10冊

 盤上に君はもういない / 綾崎隼

女性棋士のお話。女流棋士ではなく、初の女性棋士になろうと戦い、生きていった人たちの物語。何故将棋界に女性棋士はひとりもいないのか?って疑問をきっかけに始まったという作品。帯の一言「もう一度あなたと指したい」が読み終わるとほんとに泣ける。レポートの中にある「フルーツバスケット」とか「ヒカルの碁」の雰囲気もなるほどな~ってなります。将棋のことよくわからなくても、ひとつひとつ分かるように書かれているのだけれど、その説明が物語の中で必然性もって描かれているから一気読みしちゃう。そして泣く。

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この本を盗む者は / 深緑野分

御倉館の蔵書を盗むとブックカースという呪いにかかる。町全体が物語の世界に浸食されてしまう中で盗んだ者を捕まえないとその呪いは解けない…なんてお話めちゃくちゃテンション上がるじゃないですか!!小さいときに親に読み聞かせしてもらってたら、その時間来るの待てずに1人で読み始めちゃうやつ!(ナルニア国物語で私がやったことです笑)ブックカースかかりたい!こんな物語がずっと残ったりするんですよね。大人になってもそのワクワクは、かけがえのない時間だったなって思えるような。キノベス2021も第3位!!おめでとうございます!

kadobun.jp

52ヘルツのクジラたち / 町田そのこ

今年話題といえばこの小説って印象。

・第4回未来屋小説大賞
・「読書メーター オブ・ザ・イヤー2020」第1位
・『王様のブランチ』BOOK大賞2020」

他のクジラには届かない52ヘルツで鳴くクジラ。世界で最も孤独なクジラ。苦しい場所から逃れてきた女性と、話すこともしないボロボロの少年が出会い前に進んでいく物語。
ネグレクトやDVなど非常に苦しい部分を含んだお話だから、つらい部分もある。そんなつらい気持ちの52ヘルツはきっとどこかに存在しているし、気づけるかどうかはわからなくても、聞こうという気持ちでいないといけないなって思う。昨年の本屋大賞が「流浪の月」で、すごく繋がりを感じながら読みました。外から見た世界と中の世界の違いとか、じゃあどう関わっていくべきなのかとか、とっても地道で時間のかかることが大切なんじゃないかって考えるようになってきている今日この頃。

hon-hikidashi.jp

水を縫う / 寺地はるな

例えば、「女子か」って言われることがある。寒いのだから膝掛けくらいさせておくれと思う。何かで括って「ふつう」を作ると排除されるものがどうしても出てくる。ひとつの家族の中で、互いが互いを括ってしまって身動きとれなくなってしまっている空気から、少しずつときほぐされていくのが心地よい。そんな物語。水って、溜まってたら濁っていくけど、流れていたら澄んでいくんだってこと。おわりの空気感というか、関わり方の変化というか、ほんとうに素敵なお話。

pdmagazine.jp

イマジン? / 有川ひろ

映画製作現場のお話。出てくる現場が知ってる人にはもう堪らない。割に体育会系な感じがあって、受け付けないひともいるかも?私的には苦手なものの住んできたとこでもあるので親近感ある。大事なのって結局すごく具体的に現場にあるものだよね。外から見たら善し悪しなんて簡単にはわからないし。がむしゃらに目の前のことやるのって素敵だし、かっこいい!

shosetsu-maru.com

始まりの木 / 夏川草介

神様のカルテが好きで、お医者さんのお話だよね~って開いたら、まさかの民俗学。偏屈な学者と大学院生がフィールドワークという旅をするお話。皮肉たっぷりのやりとりが愛おしくて可愛い。ご本人がお医者さんだからこそ感じる不思議な体験も、この旅の物語で入ってきているのかな。たぶん自分はいわゆる無宗教と呼ばれる範囲の人間なんだと思うけど、大切にしたいものがないってことじゃなくて、それはとっても日本人的なものじゃないかと思うのです。

shosetsu-maru.com

魔女たちは眠りを守る / 村山早紀

本屋大賞ノミネート作品を読んでみようと思った2017年本屋大賞のときから、がっつりはまった村山先生。御影の日向先生(後述の火狩りの王の作者)とのイベントも伺って、あの時間は本当に幸せだったなって今でも思い出します。
魔女たちがひっそりと今の世界で静かに生きていて、ちょっぴり寂しく、やっぱり優しい物語。全7話になるのだけれど、個人的に好きなのは6話。お人形の物語。ひととき大事にしていたものも忘れちゃいがちで、でもその時間はなかったものではなくて。魔女たちもきっと神様みたいに目には見えないけど、どこかで見守ってくれているんじゃないかって思えてきます。猫かわいい。

www.lettuceclub.net

火狩りの王〈四〉 星ノ火 / 日向理恵子

WOWOWでのアニメ化おめでとうございます!!

【製作決定!】WOWOWオリジナルアニメ「火狩りの王」|番組インフォメーション|WOWOWオンライン

重厚なファンタジーで最初に出版されたⅠから完結となったⅣまで追いかけてきた作品。人類最終戦争で人類は天然の火に近づくと燃えてしまう身体になり、炎魔を狩ることで得た火しか扱えなくなってしまった世界。イラストは十二国記でも描かれている山田章博さん。
1巻目を読んだときに、自分の中のファンタジースイッチがONになりまして、ググッと世界に引っ張られました。苦しい運命に翻弄されながら、ボロボロになりながら、それでも生きていかなきゃならないってことを、灯子と煌四の生き様から強く突きつけられたような気がします。
日向先生の絵ほんとかわいい。狩り犬かわいい。

holp.jp

楽園の烏 / 阿部智里

八咫烏シリーズ」の第二部始動!!「烏に一重は似合わない」から毎度やられたっ(*゚ロ゚)ってなる作品。そもそも始まりはこちら側の世界だし、あちらに行ってみたら第一部からは20年も経っているしで驚きの連続。20年経っていますが、やはり好きだった彼らは健在というか…。1冊の中でここまでかと衝撃でした。あのときのキャラクターがここでは…ってのを追いかけ続けられるのはシリーズものの醍醐味ですね。ダ・ヴィンチ11月号の武田綾乃さんとの対談も嬉しかったな。

books.bunshun.jp

鬼人幻燈抄 / 中西モトオ
 [江戸編 残雪酔夢、幕末編 天邪鬼の理、明治編 徒花]

こちらも初期から追いかけているシリーズもの。小説家になろうでも読めるのですが、横書きで小説を読むのがどうやら苦手なもので、単行本の発売を待っているのです。江戸から平成までを綴っているのですが、現時点では明治に入ったところ。江戸という時代でも明治という時代でも鬼はいて、時代の移り変わりとともに鬼たちが人間とどう付き合っていくのか、主人公の目的は果たされるのか、大きな物語の軸がありつつ人間の確かな生活もあり、どの時代の作品も目が離せません。

note.com

おわりに

ちなみに去年はどうだったかというと…

なかなか被っているww
もはや作家さんで言ったら半分は同じじゃないかと。

2019年の末から2020年明けまで十二国記を始めから読んで。本屋大賞2019ノミネート作品が発表されてからは10作品すべて読んでのランキング予想をしてみたり。シリーズものとしては活版印刷日月堂も最初から最後まで読んだりもしました。あと少しで本屋大賞2020のノミネート発表もありますので、そちらも楽しみにしつつ、来年も新しい作品に出会っていければよいなと思います。


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